このページの要点
- 決済代行会社の審査基準(役務期間の上限、無期限サポートの不可、審査価格など)は法令ではなく各社の取り決め。書類は「法令で動かせない所」と「審査に合わせられる所」を分けて整える。
- 卒業後のコミュニティは、受講期間中は役務の一部、終了後は請求権のない任意の特典、個別の追加セッションは別の有償サービス、の三つに分け、契約書・表記・販売ページ・審査資料で同じ文言にする。
- 表示する価格は実売価格。審査に本来の価格が必要でも、契約書面・表記・勧誘の説明は実際に請求する額にそろえ、改定予定は確実な予定がある場合に時期と条件つきで示す。
- 表記の見出しを審査会社の様式に寄せても、特商法11条と施行規則23条の事項は落とさない。分割の付属契約書は、総額・各回の額・回数・期日・契約成立の時点を数字で書く。
結論:審査の基準は法令ではなく各社の取り決め。書類は「動かせない所」と「合わせられる所」を分けて整える
カード決済を導入するときの審査で見られる基準は、法令ではなく、決済代行会社が定める取り決めです。ですから書類は、法令で動かせない所(表示事項、書面の記載事項、価格の真実性)を先に固定し、そのうえで審査の基準に合わせられる所(役務の切り分け、見出しの付け方、提出資料の文言)を合わせ、合わせられない所は会社に書面で確認する、という順番で整えます。審査に通すために法令の側を曲げた書類は、受講者との間では通用しません。
決済代行会社とは、事業者に代わってカード決済などの決済手段を用意し、加盟店として受け入れてよいかどうかを審査する会社です。投資・副業・マネーの講座は、受講料が高額になりやすく、成果を訴える表現も多い分野です。そのため審査の段階で、販売ページ、特定商取引法に基づく表記、利用規約、受講契約書、料金表などを提出するよう求められ、役務の中身、提供期間、返金の扱い、事業者の実在などを確認されることがあります。確認の範囲は会社によって違い、基準が公表されていないことも、途中で変わることもあります。
審査の基準の例としては、役務の提供期間に上限を設け、期間の定めのない「無期限サポート」は審査を受け付けない、価格は審査では本来の価格で出す必要があり、モニター価格での審査は受け付けない、といった内容があります。また、審査に合わせて特商法に基づく表記の見出しを組み替えることもあります。ただし、これらは特定の会社の、その時点の取り決めです。どの会社にも当てはまる一般則ではありません。このページは、審査を通す方法を示すものではなく、審査に提出する書類を、法令と食い違わない形で整える考え方を示すものです。
審査に関わる事項を三つの層に分ける
- 法令の層表示事項、書面の記載事項、価格の真実性、申込みの撤回・解除に関する定め。審査の都合では動かせない
- 決済代行会社の層役務期間の上限、取り扱える内容、審査に出す書類の様式、屋号と本人確認書類の対応。会社ごとに違い、書面で確認する
- 事業者自身の運用の層実際に請求する金額、実際に提供する範囲、提供期間の数え方。書類と実態を一致させる
審査で求められたことは、まずこの三つのどれに当たるかで仕分けます。一番上の層に当たることは、審査の側から求められても変えられません。
仕分けの利点は、食い違ったときの優先順位が決まることです。審査会社の様式に合わせて表記の見出しを変えるのは第二の層の話で、法令の事項を落とさない限り自由に合わせられます。一方、審査に本来の価格が必要だからといって、契約書面に実際には請求しない金額を書くのは、第一の層を動かす話で、できません。以下、論点になりやすい四つの場面(役務期間と卒業後のサポート、審査用の価格、特商法に基づく表記、分割払いの付属契約書)を順に見ます。価格表示の法的な整理は「稼げる」の表示と先行価格で、投資講座の書類全体の地図は投資・マネー講座に必要な書類一式で扱います。
役務の提供期間の上限と「無期限サポート」:卒業後の提供物を三つに分ける
契約書には、卒業後のコミュニティの条が置かれていることがあります。受講期間の終了後も、会員が継続して使えるコミュニティを「提供します」と書く一方で、運営を続ける限りという限定を付け、相当の予告期間をもっていつでも変更・終了でき、終了しても既に受けた対価は返還しない、とも書く例です。また、卒業後の個別の追加セッションを会員価格で受けられるとし、別の資料では、これとは別に一般価格が位置づけられていることもあります。この条には、審査の面と契約の面の二つから問題があります。
審査の面では、卒業後のコミュニティを「役務ではない無料の特典」として扱う予定でも、条文が「提供します」という義務の形であれば、審査の資料として契約書を出したときに、期間の定めのない役務を約束しているように読めます。契約の面では、同じ条の中に、義務(提供します)、運営を続ける限りの提供、いつでも変更・終了できるもの、という性質の違う書き方が並びます。紛争になれば、契約書を作った側に不利に読まれやすい形です。さらに、終了しても対価を返還しないという書き方は、コミュニティが対価の一部だと言っているようにも読め、対価の一部が提供されなくなるのに返還しない条項として、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)に照らした検討の対象になります。無期限の提供義務は、廃業・病気・サービスの終了で履行できなくなったときの扱いも決まっておらず、「相当の予告期間」がどの程度なのか、変更や終了の理由が何なのかも書かれていないことになります。
卒業後の提供物を三つに分ける
- ① 対価に含まれる役務受講期間中のセッション、チャット、ワークシート、録画。提供義務があり、中途解約と精算の対象。審査上の「役務期間」はここで数える
- ② 対価と無関係の任意の特典受講期間の終了後のコミュニティ。請求する権利を生じさせず、変更・終了ができる。受講料の対価に含まれず、役務期間にも含めない
- ③ 有料の追加サービス卒業後の個別の追加セッション。希望する人だけが別に申し込み、都度支払う。自動では更新しない
三つの区別がつかないと、②のつもりの書き方が①に読まれます。
書き方の例(一般的な例) |卒業後のコミュニティの条項
提供の性質
理由義務と任意が混ざると、審査資料としては期間の定めのない役務に読まれ、紛争では作成者に不利に読まれるためです。
変更・終了
理由対価の一部でない特典なら、終了しても返還の問題は生じません。返還しないと書くこと自体が、対価の一部だと言っているように読まれるためです。
追加セッション
理由実際に販売していない一般価格との比較を示すと、有利誤認の表示(景品表示法5条2号)の問題になるためです。
表示の統一
理由場所によって性質の説明が違うと、どれが実際の約束か分からなくなるためです。
条文例受講契約書(継続コミュニティと追加セッション)
- 当社は、受講期間中、本サービスの一部として、会員制サイトによるコンテンツの閲覧及びチャットによる交流の場(以下「継続コミュニティ」といいます。)を、追加の料金なしで提供します。
- 受講期間の終了後の継続コミュニティの利用は、当社が任意に無料で提供する卒業者向けの特典であり、受講料の対価に含まれる役務ではなく、受講期間にも含まれません。
- 前項の特典は、受講者が当社に対してその提供を請求する権利を生じさせるものではなく、当社は、その内容を変更し、又は終了することがあります。
- 受講期間の終了後に受講者が個別の追加セッションを希望する場合は、別途申込みを受けたうえで、当社が定める金額を都度支払うものとします。追加セッションは、自動では更新されません。
第2項と第3項の文言は、契約書だけでなく、特商法に基づく表記、販売ページ、審査会社への提出資料でも同じにします。
卒業後の提供物は、役務として読まれるか
- 当たる方向受講期間中に使うコミュニティ受講料の対価に含まれる役務の一部です。中途解約の精算でも数えます。
- 当たる方向終了後も使えるコミュニティを「提供します」と書く義務の形なので、期間の定めのない役務に読まれ、審査上の役務期間とも衝突します。
- 当たらない方向終了後は任意の特典と書き、請求権を生じさせず、変更・終了もできるとする対価に含まれず役務期間にも含まれない書き方です。販売ページが「ずっとサポート」と書いていれば、そこで食い違います。
- 当たらない方向終了後の個別の追加セッションを、希望者だけが別に申し込み、都度支払う別の有償サービスで、自動更新のない単発の契約です。
- 当たり得る終了後に自動で更新される月額会員を用意する別の有償サービスですが、契約を2回以上継続して締結する必要があるものとして、金額や契約期間の表示が要ります(特商法施行規則23条7号)。審査会社の取扱いも確認します。
役務期間の上限がある会社では、期間の数え方も点検します。提供期間を「契約締結日から」数えるのか「提供開始日から」数えるのか、延長した期間を含めるのかを、契約書の定義と審査資料で一致させます。休会、日程の振替、欠席の補講、初案件が取れるまでの追加サポートのような制度は、受講期間の終了日を後ろにずらします。案件紹介・保証の条文で扱う延長保証も同じで、延長を含めて上限に収まるのか、延長分は別の扱いにするのかを、審査会社に確認します。
審査用の価格と実際の請求額:書類の価格は実売価格に一本化する
審査では本来の価格を求められ、モニター価格での審査は受け付けてもらえない、という会社もあります。そこで、審査にも特商法に基づく表記にも本来の価格を載せ、実際の販売ではモニター価格を適用する運用を想定する事業者もあります。この問題は二つに分けて考えます。
一つ目は、審査に出す価格と実際に請求する価格が違うことが、加盟店契約の上でどう扱われるかです。これは決済代行会社との取り決めであり、法令で答えが出る問題ではありません。この点は会社の規約によるものとして要確認に分類し、その会社に実際の運用(モニター価格で販売する期間と、本来の価格へ改定する予定)を示して、書面で確認することが望ましいといえます。一般に、加盟店契約は、申告した内容が事実であることを前提にしていると考えられますから、申告と実態が違えば、契約上の問題になる可能性があります。具体的な扱いは各社の規約によるため、確認を省かないことが大切です。
二つ目は、受講者に対する表示と書面です。こちらは法令が決めます。「審査に必要だから本来の価格を表示する」ことは、次の規律を免れる理由になりません。通信販売の広告に表示する販売価格は実際に取引で使う価格(実売価格)で(特商法11条1号。消費者庁の通信販売広告Q&Aも、定価や通常価格と称する価格が表示されていても実際には異なる価格で販売していれば、実売価格が表示されているとはいえない、としています)、電話勧誘販売に当たる売り方の申込書面・契約書面には役務の対価を書き(同法18条1項2号、19条1項。虚偽の記載のある書面の交付は71条1号の罰則の対象)、通話で役務の対価について不実のことを告げることも禁じられ(21条1項2号。70条1号の罰則の対象)、本来の価格と並べて割引を示す表示は景品表示法5条2号の問題になり得ます。場面ごとの当てはめは「稼げる」の表示と先行価格で扱っているので、このページでは、審査という事情が加わったときの進め方に絞ります。
書き方の例(一般的な例) |価格の書き方の見直し
契約書の対価
理由契約書を読んでも、何をいくらで契約したのかが分からない書類は、紛争のときに出す書類として欠けているためです。
本来の価格
理由実売価格でない金額を並べると、有利誤認の表示や、対価についての不実告知の問題になるためです。
契約済みの受講者
理由改定が既存の受講者に及ぶのかが不明だと、契約時の合意の内容が確定しないためです。
表示する場所
理由場所によって価格が違えば、どれが実売価格なのか分からなくなるためです。
審査対応の三つの進め方
| 進め方 | 審査会社との関係 | 法令との関係 | 考え方 |
|---|---|---|---|
| A 実際に請求する額で審査を受ける | その額と書類の内容で審査に通るかを、会社に確認する。通らなければ、その会社での取扱いを見送る判断もある | 表示・書面・説明がすべて実売価格にそろい、問題が最も生じにくい | 最優先です。審査に通すために価格や書類の側を動かす前に、取扱いの条件が合う会社を探す余地を考えます |
| B 本来の価格を「改定予定」として時期と条件つきで表示し、審査にも同じ表示で出す | モニター価格で販売する期間と改定の予定を示して、会社に確認する | 実際にその価格で販売する確実な予定がある場合に限る。予定がなければ有利誤認の表示になり得る | 改定の予定が実在するときだけ使います。予定を書面に残し、実際に改定します |
| C 審査には本来の価格を出し、表示と請求は別の価格にする | 申告と実態が違うため、加盟店契約上の問題になり得る。扱いは会社の規約による | 表記・書面・説明は実売価格でなければならず、審査の都合は理由にならない | 採りません。会社への確認を経ずに進めることは、勧められません |
A・B・Cのどれを採るにしても、受講者に見せる価格と契約書の価格は、実際に請求する額と一致させます。
審査資料としての特商法表記:見出しを会社の様式に寄せても、法定の事項は落とさない
審査では、特商法に基づく表記の掲載を求められるのが一般的で、見出しの付け方や記載事項について、会社が自社の様式を案内していることがあります。様式は会社によって違います。審査会社の様式に寄せて表記の見出しを組み替えることがあります。見出しの文言は法律が決めているものではなく、特商法11条1号から5号と、同法施行規則23条が定める「事項」が決めているものです。見出しは自由に合わせられる一方で、見出しを変えるたびに、事項が欠けていないかを確かめます。
審査対応版の見出しと、法定の事項の対応(一例)
| 審査対応版の見出し | 対応する法定の事項 | 根拠 |
|---|---|---|
| 販売業者の名称 | 事業者の氏名又は名称 | 施行規則23条1号 |
| 運営統括責任者 | 法人が電子的に広告する場合の代表者又は通信販売業務の責任者の氏名 | 施行規則23条2号 |
| 所在地・電話番号 | 事業者の住所・電話番号 | 施行規則23条1号 |
| 販売価格 | 役務の対価 | 特商法11条1号 |
| 追加手数料等の追加料金 | 対価以外に受講者が負担する金銭の内容と額 | 施行規則23条4号 |
| 受付可能な決済手段・決済時期 | 代金の支払の方法・時期 | 特商法11条2号 |
| 引渡時期 | 役務の提供時期 | 特商法11条3号、施行規則24条2号 |
| 返金ポリシー | 申込みの撤回又は契約の解除に関する事項 | 特商法11条5号、施行規則24条3号 |
見出しの付け方は会社の様式に合わせて変えられますが、見出しを変えても、法定の事項は同じです。
見出しを変えたあとの中身にも気をつけます。まず販売価格です。価格の欄に「ホームページに記載の金額」とだけ書くのでは、価格が表示されているかどうかが別のページ次第になります。表記にコース名と金額を書いてしまえば、審査でも、受講者の確認でも、表記だけで完結します。次に提供時期です。役務の提供時期は、期間又は期限で表示します(施行規則24条2号)。消費者庁の通信販売広告Q&Aは、商品の引渡時期について、「入金確認後、直ちにお届け」は表示として足りるが、「入金確認後発送します」だけでは足りないとしています。講座なら、「決済の完了後ただちに視聴できます」「契約締結日から〇日以内に初回のセッションを実施します」のように、期間や期限で書きます。
申込みの撤回・解除に関する事項は、受講者にとって見やすい箇所に、明瞭に判読できるように表示します(施行規則24条3号)。通信販売にはクーリング・オフの制度がなく(消費者庁の通信販売広告Q&A)、事業者が定めた条件が受講者の判断材料になります。「返金しません」の一文だけにせず、提供前、提供開始後、事業者の都合で終了した場合の精算の基準を、契約書と同じ内容で書きます。精算の設計は返金・中途解約の精算で扱います。
事業者名は、個人事業者なら戸籍上の氏名又は商業登記簿上の商号を書き、通称や屋号、サイト名だけの表示は認められません(消費者庁の通信販売広告Q&A)。屋号が公的な届出書類の上では本名のままで、事業は別の屋号で行う予定、ということがあります。この場合は、書類には本名を主に書き、屋号は併記にする形が考えられます。そうすれば、屋号の届出を後から変えても、書面上の当事者の表示は変わりません。審査会社が、屋号と本人確認書類、口座の名義の対応をどう見るかは、その会社の基準です。特商法11条と施行規則23条の表示事項には、表記の屋号を公的な届出書類の屋号と一致させよという定めはありません。ただ、審査で一致を求められたときは、その時点で書類を改めるかどうかを判断します。
住所と電話番号は、広告に表示する代わりに、請求があれば遅滞なく開示すると表示する方法があります。審査会社が請求があれば開示する形を了承するかは、会社の判断です。ただし、広告での扱いと、契約書面に載せる事項とは別の問題です。この点は投資・マネー講座に必要な書類一式の「住所・電話番号を公開したくないとき」で扱います。
決済画面と契約成立の順序も、審査に出す資料の一部です。契約の成立(受講契約書への同意の返信)の後に、支払用のリンクを個別に送る運用にし、支払用のページを誰でも購入できる状態では公開しない、という運用があります。この運用であれば、支払用リンクの操作は、既に成立した契約の受講料の支払手続であって、新たな申込みの意思表示ではない、と整理できます。支払用のページを公開し、契約書を経ずに購入できる形にするなら、特商法12条の6が定める申込みの最終確認の表示(役務の分量、販売価格、支払の時期と方法、提供時期、申込期間、撤回・解除に関する事項)を、申込みの操作を行う画面に表示する必要があります。購入に先立って通話で勧誘していれば、電話勧誘販売の規定も適用され得ます(同法2条3項)。決済画面に表示するコース名と金額は、契約書の記載と一致させ、リンクを送るメッセージにも、金額、支払期日、申込みの撤回・解除に関する事項を、リンク先に載せるだけでなく本文に書きます。メッセージで申し込む運用の確認事項は確認書・申込み前確認メッセージで扱います。
分割払い用の付属契約書:総額・各回の額・回数・期日・契約成立の時点
一括払いを前提にした受講規約はあるが、分割払いを加えるときの契約書類がない、という場合は、既存の利用規約を活かしたまま、分割払い用の付属契約書を用意する方法があります。分割払いは、受講者の申込みを後押しする一方で、後から条件を一方的に決めることができません。そこで、付属契約書には数字で書ける事項を数字で書きます。
- 分割払いの総額(税込)
- 各回の支払額と、回数
- 各回の支払期日
- 契約が成立する時点
- 解除と返金の扱い(本体の受講契約書と同じ精算の基準を参照する)
条文例付属契約書(分割払い)
- 受講者は、受講料の総額(税込)[ ]円を、毎月[ ]日限り[ ]円ずつ、[ ]回に分割して支払います。
- 本契約は、受講者が申込みフォームに必要事項を入力して送信し、かつ、初回の支払が完了した時に成立するものとします。
- 分割払いの支払方法は、決済代行会社の定める条件によります。分割に伴う手数料の負担者及び額は、別表のとおりとします。
空欄は、決済画面に表示される回数・金額と一致させます。
契約が成立する時点は、フォームの送信、決済の完了、電子署名、メッセージでの同意返信のどれを成立とするかで変わります。この選択は、電話勧誘販売に当たる売り方ではクーリング・オフの起算(書面を受領した日から8日。特商法24条1項)、返金の算定、書面の交付の時期に響きます。書類に書いた成立の時点と、決済画面の流れ、実際の運用が一致しているかを確かめます。
分割払いの法的な位置づけは、誰が与信するかで変わります。事業者が自ら受講料を2か月以上にわたり3回以上に分けて受け取る場合は、指定役務の割賦販売に当たり得て、条件の表示(割賦販売法3条)と契約後の書面の交付(同法4条)が要ります。カードのリボ払いや分割払いを受講者が選ぶ場合は、事業者の割賦販売ではなく、受講者とカード会社の関係になります。違いは分割払い・信販と割賦販売法で扱っています。付属契約書に書く回数と金額は、決済画面や決済代行会社が提供する分割の条件と食い違わないようにします。
書類を整えれば審査の通過が約束される、ということではありません。審査の結果は会社の判断であり、書類は、審査の資料として矛盾がなく、実際の運用と一致していることを示すためのものです。
審査に出す前の突き合わせ:書類・画面・資料が同じことを言っているか
審査の資料は、一つの書類ではなく、複数の書類と画面の組合せで読まれます。どれか一つでも食い違えば、審査会社から質問が来るか、審査後に受講者から指摘されます。提出の前に、次の表で書類と画面を突き合わせます。
突き合わせの項目と、見る書類
| 項目 | 表記・契約書・規約 | 販売ページ・決済画面 | 審査に出す資料 |
|---|---|---|---|
| 受講料(コース名・消費税を含む総額) | 実際に請求する額で一致させる。比較用の価格は載せない | コース名と金額が契約書と一致する。支払用ページは契約成立後の個別リンクか、最終確認の表示つき | 表記と同じ額。本来の価格を出す場合は、時期と条件つきの改定予定として会社に確認する |
| 役務の内容・提供期間・回数 | 提供期間の起算点と終了日を定義し、延長・休会の扱いも書く | 表記と同じ言い方にする | 会社の上限と照らす。延長を含めて収まるかを確認する |
| 卒業後の提供物 | 三区分(役務・任意の特典・有償の追加)を同じ文言で書く | 「ずっとサポート」など、義務に読める言い方をしない | 特典であり、役務期間に含まれないと、同じ文言で説明する |
| 支払方法・時期・分割 | 総額、各回の額、回数、期日、契約成立の時点 | 決済画面の回数・金額と一致する | 分割の与信主体(自社か、決済代行会社経由か)を整理して伝える |
| 返金・中途解約 | 表記と契約書で同じ精算の基準にする | 最終確認の表示や案内メッセージにも同じ文言で書く | 返金の方針を、書類と同じ内容で説明する |
| 事業者の名称・連絡先 | 氏名(本名)を主に、屋号を併記。住所・電話は、広告で省略するなら請求開示の方法を表示 | 表記へのリンクを販売ページと決済ページに置く | 本人確認書類・口座名義との対応は、会社の基準を確認する |
審査の申請前に点検する順番
- 価格を確定する実際に請求する額を決める。本来の価格を使うなら、改定予定の時期と条件を決める
- 役務と期間を確定する提供期間、卒業後の提供物の三区分、延長・休会の扱いを決める
- 表記の事項を確認する見出しを会社の様式に寄せたうえで、法定の事項が欠けていないかを確かめる
- 書類と画面を突き合わせる契約書・表記・販売ページ・決済画面・提出資料の数字と言葉を照らす
- 会社に書面で確認する法令では決まらない点(審査価格、役務期間の上限、屋号と本人確認書類)を書面で確認する
確認の結果は、書面やメールで残します。口頭の回答だけでは、後で扱いが変わったときに示せません。
ヒヤリングの問い|審査対応の書類を作る前に
利用する決済代行会社は決まっていますか。その会社の加盟店向けの案内で、役務期間の上限、取り扱える内容、提出書類の様式はどう書かれていますか。
会社が決まらないと、審査に合わせられる所と確認すべき所が分かれません。基準は会社ごとに違い、更新されることもあります。
審査に出す価格と、実際に請求する価格は同じですか。違うなら、その理由と期間は決まっていますか。
違う場合は、法令の問題(表示・書面・説明)と会社との取り決めの問題を、別々に整理します。
受講期間の終了後に、受講者へ何を提供しますか。それは無料ですか、有償ですか、いつまで続けますか。
三区分のどれに当たるかが決まり、契約書・表記・審査資料の文言が決まります。
受講期間は、いつからいつまでですか。延長、休会、振替、追加サポートで、期間が延びることはありますか。
役務期間の上限がある会社では、延長を含めて収まるかが論点になります。
特商法に基づく表記に、住所と電話番号を載せますか。請求があれば開示する形にしますか。
審査会社がその形を受け付けるかを確認します。契約書面には別に載せる事項があります。
受講者は、いつ、どの操作で契約が成立したことになりますか。支払用のページは、誰でも購入できる状態ですか。
最終確認の表示が必要な経路か、契約成立後の支払手続かが分かれ、成立の時点を書類に書けます。
ご質問と回答|審査と書類で迷いやすいこと
審査で本来の価格が必要とされるときは、特商法に基づく表記にも本来の価格を書いてよいですか。
表記に載せる販売価格は、実際に取引で使う価格です。審査会社が本来の価格を求めることと、受講者に見せる表記の価格とは、別の問題として扱います。実際に請求する額を表記に書き、本来の価格を案内するなら、改定の時期と条件が具体的で、実際にその価格で販売する確実な予定がある場合に限ります。審査に出す価格と請求額の違いは、会社に書面で確認します。
卒業後のコミュニティを無料の特典にすれば、役務期間の上限を気にしなくてよいですか。
契約書の書き方が「提供します」という義務の形であれば、特典のつもりでも役務に読まれます。請求する権利を生じさせず、変更・終了ができる特典だと書き、販売ページや審査資料でも同じ言い方にしてはじめて、役務期間とは別のものとして説明できます。
屋号が公的な届出書類の屋号と違うときは、表記や契約書にはどちらを書けばよいですか。
表記も契約書も、氏名(本名)を主に書き、屋号は併記にします。通称や屋号だけの表示は認められません。審査会社が屋号と本人確認書類、口座名義の対応をどう見るかは会社の基準なので、事業の実態を示して確認します。
よくあるご質問
決済代行会社の審査基準は、法律で決まっているのですか?
いいえ。審査の基準は、各社が加盟店契約や内部の基準として定めているもので、法令ではありません。役務の提供期間の上限や、期間の定めのないサポートの扱い、審査に出す価格などは会社によって違い、更新されることもあります。法令で決まっているのは、表示事項や書面の記載事項、価格の真実性などで、こちらは審査の都合では動かせません。
審査には本来の価格を出して、実際はモニター価格で請求してもよいですか?
法令の面では、表記や契約書面、通話での説明は実際に請求する価格でなければならず、審査に必要という事情は理由になりません。審査に出す価格と請求額が違うことが加盟店契約上どう扱われるかは、会社との取り決めなので、実際の運用を示して書面で確認します。本来の価格を案内するなら、実際に改定する確実な予定があるときに限り、時期と条件を示して行います。
卒業後のコミュニティを無料の特典にするとき、契約書にはどう書きますか?
受講期間中は本サービスの一部として提供し、期間の終了後は、運営者が任意に無料で提供する特典であり、受講料の対価に含まれず、提供を請求する権利を生じさせず、内容の変更や終了があり得る、と書きます。契約書、特商法に基づく表記、販売ページ、審査会社への提出資料で同じ文言にします。「提供します」という義務の形で書くと、役務に読まれます。
特商法に基づく表記の見出しを、決済代行会社の様式に変えてもよいですか?
見出しの文言は法律が決めているものではないので、会社の様式に合わせて構いません。ただし、特商法11条1号から5号と施行規則23条が定める事項(販売価格、支払の時期と方法、提供時期、申込みの撤回・解除に関する事項、事業者の氏名・住所・電話番号、追加の費用など)が欠けていないかを、見出しを変えるたびに確認します。
屋号が公的な届出書類の屋号と違うとき、表記や契約書にはどう書きますか?
個人事業者の表記では、戸籍上の氏名又は商業登記簿上の商号を書く必要があり、屋号だけの表示は認められません。氏名(本名)を主に書き、屋号を併記すれば、屋号の届出を後から変えても書面上の当事者の表示は変わりません。屋号と本人確認書類、口座名義の対応は審査会社の基準なので、会社に確認します。
あわせて読みたいページ
本ページは一般的な情報提供です。個別の講座やサービスが投資助言・代理業、業務提供誘引販売取引などに当たるかは、勧誘の方法や講座の実態によって結論が変わります。本サイトは個別の投資判断や投資の助言を行うものではありません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 金融庁