このページの要点
- 入会金は、入会の手続の費用、利用の全期間の対価、資格取得の対価のどれかを決めて書く。運営者の都合で終わる場合や、事由に当たらない取消しの精算も別に決める。
- 取消しの事由は、会員どうしの投資・副業の勧誘、無登録の助言、金銭の貸借など、具体的な行為で挙げ、注意・停止・取消しと段階を踏む。
- 運営者が会費を受けて個別の銘柄や売買の時期を示す運営は、金融商品取引法2条8項11号・29条との関係で慎重に扱う。案件の紹介は業務提供誘引販売取引の確認が要る。
- 修了者向けのサロンは、期間中は役務の一部、満了後は対価外の特典、有料なら別契約と書き分ける。入会資格の20歳以上は、成年年齢18歳とは別の問題として整理する。
結論:投資・副業のサロンの規約は、入会金、資格の取消し、投稿の規律、修了者の位置づけ、年齢の五つを決める
投資・副業の会員制オンラインサロンの規約では、入会金を「いかなる理由でも返金しない」とし、運営者が理由を示さず会員資格を取り消せると定める組合せが、消費者契約法9条1項1号と10条の評価を受けます。さらに、投資や副業の情報を会員が交わす場では、運営者の発言や会員の投稿が、投資助言や業務提供誘引販売取引との線を越えないよう、規約の中で規律しておく必要があります。講座の修了者向けのサロンは、期間中は役務の一部、終了後は対価外の特典、有料の修了者サロンは別契約、と位置づけを分けて書きます。
サロンの形は、一つではありません。入会金だけを払えば月額は無料というもの、毎月の会費を払う月額制のもの、講座の修了者だけが入れるもの、卒業後の無償のコミュニティ。投資や副業をテーマにしたサロンは、このどれにもあり、多くは講座とセットで運営されます。講座の受講契約書があるのに、サロンの規約は後から簡単な利用規約を足しただけ、という状態が、トラブルの出発点になりやすい箇所です。
サロンの規約全般の作り方、たとえば会則・約款・利用規約の三文書の分け方や、プラットフォームのメンバーシップ機能で運営するときの注意、退会の締日の書き方は、姉妹サイトのオンライン講座の解説で扱っています。このページでは、投資・副業のサロンに固有の次の五つに絞ります。
- 入会金は何の対価か。「いかなる理由でも返金しない」と、理由を示さない資格の取消しの組合せ
- 運営者が会員資格を取り消す事由を、投資・副業のサロンでは何で具体化するか
- 投資や副業の情報を交わす場での、運営者の発言と会員の投稿の規律
- 講座の修了者向けのサロン、卒業後のコミュニティの位置づけ
- 入会資格の「満20歳以上」と成年年齢18歳、会員どうしの発言の秘密保持
ここで扱う条項の例は、入会金を払って入会し、運営者の承認を経て会員になる型のサロンを念頭に置いています。講座に付随するサロンの規約でも、考え方は共通です。
入会金は何の対価か:「いかなる理由でも返金しない」の読まれ方
入会金型のサロンの規約には、典型的には次のような趣旨の定めが並びます(説明用に整理した例です)。
- 運営者は、自己の裁量により、入会の申込みを拒否し、又は入会後であっても会員資格を取り消すことができる。この場合、運営者は、拒否又は取消しの理由を開示する義務を負わない。
- 会員が支払った金銭は、法令上のクーリング・オフ制度が適用される場合を除き、いかなる理由があっても返金されない。
- 会員が退会し、又は会員資格を取り消された場合であっても、既に支払われた入会金その他の金銭は、理由の如何を問わず返金されない。ただし、法令に基づき返金義務が生じる場合を除く。
運営者の側からすれば、入会金は入会の手続の費用であり、会員の退会や取消しがあっても返す理由はない、という考え方です。この考え方に一理あることは、裁判所の判断からも分かります。大学の合格者が納付した学納金をめぐる最高裁判所第二小法廷の平成18年11月27日判決(平成17年(受)第1158号、民集60巻9号3437頁)は、入学金を、その額が不相当に高額であるなど他の性質を有するものと認められる特段の事情のない限り、合格者が大学に入学し得る地位を取得するための対価としての性質を有するものとしました。一方、納付済みの授業料等を返還しない特約は、在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の性質を有するものとして消費者契約法の平均的な損害の規定(現在の9条1項1号)を適用し、解除の意思表示が入学年度の前日である3月31日までにされたときは、原則として平均的な損害は存在せず、特約は全部無効としました。大学の在学契約の事案であり、サロンにそのまま当てはまるわけではありませんが、「入会金」という名前の金銭にどんな性質があるのかを、先に決めておかなければならないことを教えてくれます。
サロンの入会金の性質は、次の三つのどれかに整理して、規約に書き分けます。
入会金の性質と、不返還の説明
| 入会金の性質 | 不返還の説明 | 取消し・終了のときの注意 |
|---|---|---|
| 入会の手続・審査にかかる費用 | 入会が承認された時点で費用は発生済みであり、その後に退会しても返さない、と説明できる | 承認前に入会を断る場合は、受け取った金銭の全額を返す。承認後の取消しが運営者の判断の誤りなら、返金を検討する |
| サロンを利用できる全期間の対価 | 全期間の対価なら、期間の途中で退会するときの精算を決める必要がある。完全な不返還とは両立しにくい | 運営者の都合でサロンを終了するときは、未提供の期間に当たる分を返す設計になる |
| 会員資格を得ることの対価 | 資格の取得という一時の対価として説明できるが、資格を運営者が自由に取り消せると、対価に見合う地位が保障されない | 取消しの事由を限定し、事由に当たらない取消しのときの精算を決める |
どの性質に整理するかで、不返還の説明と、運営者の都合で終わる場合の扱いが変わります。規約には、入会金の性質を一つの文で書いておきます。
この整理がないまま、「いかなる理由でも返金されない」と、「理由を示さず取り消せる」を並べると、運営者が自分の判断で取り消した会員からも、入会金を全額保持できる形になります。取消しの理由を運営者の裁量に委ね、開示も要らないとする定めは、会員資格という約束した地位を運営者の判断だけで失わせるもので、消費者契約法10条の評価を受けます。不返還の部分は、解除に伴う違約金としての性質を持つと評価されれば、同法9条1項1号の問題にもなります。
もう一つ、目に留まりやすいのは、クーリング・オフの記載です。返金しない定めの例外として、法令上のクーリング・オフが適用される場合を挙げ、その意思表示を契約締結日から起算して8日以内に書面で行う必要がある、とする書き方があります。通信販売には、法定のクーリング・オフはありません。電話勧誘販売などに当たれば、法定の書面を受領した日から起算する法定の期間(電話勧誘販売は8日、特定商取引法24条1項)が働きます。法定の制度の引用と、契約で独自に付与する取消しの制度を、一つの文で混ぜてしまうと、どちらの話なのか、起算日はいつなのか、受領した金銭はどうなるのかが分からなくなります。契約で独自に取消しを認めるなら、その期間、起算日、方法、返金の範囲を、条文の中で定義します。
入会金や会費の不返還の定めは、通信販売の広告の「申込みの撤回又は解除に関する事項」(特定商取引法11条5号)と、申込みの最終確認画面の表示(同法12条の6第1項)にも反映させる必要があります。契約書と画面の説明が食い違っていると、契約書の定めが、会員に示されていなかったものとして扱われかねません。
入会金型サロンの利用契約書で点検したい項目
| 条項 | 問題になる点 | 書き直しの方向 |
|---|---|---|
| 入会の拒否・取消し | 運営者の裁量で、理由を開示せずに拒否・取消しができる | 成立前の拒否は客観的な事由に限り、理由の概要を知らせて受領金を全額返す。成立後の取消しは、具体的な事由と手続を定める |
| 入会金の不返還 | 退会・取消しを問わず、理由の如何を問わず返金しない | 入会金の性質を書き、運営者の都合による終了や、事由に当たらない取消しの精算を別に決める |
| クーリング・オフ | 法定の制度と、独自の取消しが混在し、起算日が契約締結日になっている | 法定の制度は法令に従う旨にとどめ、独自の取消しなら期間・起算日・方法・返金を定義する |
| サービスの変更・中止 | 異議を述べず、契約解除、損害賠償、返金等を請求しない旨の同意 | 解除権の放棄の形をやめ、理由・通知・代替・精算を書く(変更・停止・終了のページで詳述) |
| 免責 | 故意・重過失を除き一切責任を負わないとする | 軽過失の全部免除にならないよう、責任の範囲を絞り、上限と例外を明示する。消費者が相手なら、事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失による場合を除く旨を、上限を定める一文の中に書く |
| 案件等の情報 | 情報、コンテンツ、案件等の正確性を保証しないとするだけで、扱いの線引きがない | 投資助言との関係、業務提供誘引販売取引との関係を、禁止事項と運営者の発言ルールで書く |
表の上から四番目は、投資・副業スクールの講座内容の変更・停止・終了で、書き直しの型を詳しく説明しています。
資格の取消しの事由:投資・副業のサロンでは何で具体化するか
会員資格の取消しは、成立前の拒否と成立後の取消しを分けて書きます。成立前の審査に基づく拒否の事由は、申込みの重要な登録情報の虚偽や補正に応じないこと、なりすましや不正な決済、反社会的勢力に関する表明に反する事実、過去の重大な違反に照らして安全な提供や他の受講者の権利の保護が著しく困難と認められること、というように、客観的で合理的な事由に限ります。訂正できる登録情報の誤りには、補正の機会を与えます。拒否するときは、その旨と理由の概要を通知し、成立前に金銭を受領していれば、通知後所定の日数以内に全額を返します。成立後の提供停止や解除は、審査拒否の理由では処理せず、禁止行為や解除の条に従い、受講料は精算する、という整理です。
成立後の取消しの事由は、サロンのテーマが投資・副業であることから、具体的な行為で書くことができます。投資スクールの入会契約書や講座の利用規約の禁止事項、受講生どうしの取引の条には、次のような内容を置く例があります。
- 他の受講者に対する、金融商品、投資案件、情報商材、連鎖販売の勧誘。
- 無登録での投資助言、資金運用の受託、利益の分配。
- 他の受講者への金銭の貸借の申入れ、出資の勧誘。
- 投資案件や暗号資産案件に係る勧誘。
- 受講生間の取引や紹介への運営者の非関与の明記(受講生どうしの取引については、運営者は当事者にならず、責任を負わない)。
サロンの会員にとって、最も起きやすいトラブルは、会員どうしの投資や副業の勧誘です。「誹謗中傷・無断転載」だけを禁止事項にしていても、勧誘は止まりません。上の禁止行為を列挙し、取消しの事由とつなげておけば、運営者は、規約に基づく注意、停止、取消しの順に対応できます。取消しの手続は、具体的な行為の確認、注意、是正の求め、停止、取消しと段階を踏み、重大な事由(反社会的勢力への該当、違法行為、他の会員への金銭上の被害を与える行為など)は、催告なしに取り消せるようにしておきます。受講者に生じた損害の扱いを含む受講生間トラブルの設計は、投資スクールの受講生間トラブルと違約金・講師契約で説明しています。
ヒヤリングの問い|資格の取消しの条を作る前に確かめる問い
入会は、承認制ですか。申込みと同時に会員になりますか。
承認制なら、成立前の審査による拒否と、成立後の取消しを、別の条で書けるからです。
入会金は、入会の手続の費用ですか。サロンを利用できる期間の対価ですか。
取消しや終了のときの精算の考え方が変わるからです。
会員どうしの投資や副業の勧誘、金銭の貸借を、禁止事項に具体的に書いていますか。
取消しの事由を具体化し、運営者の判断を客観的にするためです。
取消しが運営者の判断の誤りだったとき、入会金や会費はどうしますか。
事由に当たらない取消しの精算を決めておかないと、不返還の定めが争われるからです。
投資や副業の情報を交わす場で:運営者の発言と会員の投稿の規律
投資や副業をテーマにしたサロンでは、運営者自身が、日々、市況の見方や取り組んでいる副業の様子を発信することがあります。会員が、自分の取引や案件を投稿することもあります。規約は、この「場」で何が起きても、運営者の責任の範囲が分かるようにしておく必要があります。
金融商品取引法は、金融商品取引業を、内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えないと定めています(29条)。同法2条8項11号は、当事者の一方が相手方に対して、有価証券の価値等や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について、口頭、文書その他の方法により助言を行うことを約し、相手方がそれに対して報酬を支払うことを約する契約(投資顧問契約)を締結し、これに基づいて助言を行うことを、投資助言・代理業の定義にかかわる行為の一つとしています。登録を受けずに金融商品取引業を行った者は、10年以下の拘禁刑若しくは1000万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されます(197条1項4号の3)。サロンの会費は報酬に当たり得るので、運営者が会員に、個別の銘柄、売買の時期、数量などを示す運営は、この定義との関係で慎重に扱う必要があります。契約書の中で線をどう引くかは、投資スクールの契約書と投資助言・代理業の線引きで説明しています。
サロンの中での発信で、確認が必要になる場面
- 当たらない方向運営者が、制度の仕組みや調べ方、自分の学びの過程を、一般論として説明する個別の投資判断に関与しない一般的な情報の提供にとどまる限り、助言の定義からは遠い。毎回、一般論であることを示す添え書きを続ける
- 当たる方向運営者が、会費を払う会員に、特定の銘柄や売買の時期、数量を示す報酬を受けて、分析に基づく投資判断を示す形に近づく。登録の要否の検討が必要になる
- 当たり得る運営者が、自分の保有や取引を投稿し、会員が同じ取引を始める開示の形や頻度、会員への働きかけの有無で評価が分かれる。「推奨ではない」の毎回の添え書きと、運営者の発言ルールで管理する
- 当たり得る会員どうしが、特定の銘柄の売買時期を投稿し合う運営者が場を提供している以上、禁止事項と通報の手順、運営者の措置を規約に書いておく。運営者自身の助言にならないよう、運営者が評価や是認を加えない
- 当たり得るサロンで、仕事や案件を紹介し、収入の可能性を示して、会員を誘う運営者が自ら提供・あっせんする業務による利益で誘引していれば、業務提供誘引販売取引の確認が必要になる
表は、確認が必要になる場面の整理です。結論は、実際の運営の実態で決まります。
運営者の発言の決めごとは、契約書だけでは足りません。講座の講師向けに作る発言ガイドラインと同じ考え方で、サロンの運営者やスタッフ向けにも、話してよいこと、条件つきのこと、話さないことを決めておきます。三段階の区分や、定型文の使い方は投資・マネー講座の発言ガイドラインで説明しています。サロンでは、チャットが最も事故が起きやすい場面で、運営者がうっかり銘柄に反応した一言も、記録に残ります。
案件の扱いも、規約に書いておく点です。サロンで提供される情報、コンテンツ、案件等は、会員の判断と責任で利用され、運営者はその正確性、有用性、完全性、合法性を保証しない、という条項があることがあります。保証しないと書いてあっても、案件を紹介して収入の可能性を示す運営は、保証の有無とは別に、業務提供誘引販売取引に当たるかどうかが問われます。紹介制度を設けるときの設計は初案件獲得保証・案件紹介制度の契約書で、会員の利益報告の掲載については「稼げる」「利益が出た」の表示と消費者契約法で説明しています。
月額無料から有料へ:入会金を払った会員がいるときに見る点
入会金だけを払い、月額は無料で入会した会員がいるサロンを、後から月額制にするとき、将来料金体系を変更する場合は変更内容と施行日を事前に通知し、異議がある会員は施行日前に退会することで拒否できる、という定めは、手続の入口にはなりますが、それだけで有料化が認められるとは限りません。会員は、月額無料を前提に入会金を払って入会しているからです。
利用規約が定型約款に当たる場合、運営者が会員の個別の同意なしに規約を変更できるのは、変更が会員の一般の利益に適合するとき、または、契約をした目的に反せず、変更の必要性、内容の相当性、変更をすることがある旨の定めの有無などに照らして合理的なときです(民法548条の4第1項)。無料から有料への変更は、会員に新たな金銭の負担を課すもので、合理性が争われやすい変更です。入会を審査して会員を一人ずつ選ぶサロンは、定型約款に当たらないと評価される場合もあり、その場合は個別の合意が必要です。
実務では、有料の新しいプランを設けて、既存の会員に移行するかどうかを選んでもらう方法が、後の紛争を小さくします。移行しない会員には、従来の無料の範囲を残す、期限をつけて残す、機能を限った無料プランに移す、退会するという選択肢を示します。会員が何もしなかったことを、有料の新プランへの同意とみなす条項は、置きません。詳しい手続の比較と条文例は、姉妹サイトのオンライン講座のサロン会員規約の解説で扱っています。投資・副業のサロンに固有の確認事項は、次の問いにまとめられます。
ヒヤリングの問い|サロンを有料化する前に確かめる問い(投資・副業のサロン)
入会金は、無料の月額を前提にした、利用の全期間の対価と説明していませんでしたか。
説明の内容によって、有料化が契約をした目的に反しないかの評価が変わるからです。
有料化しても、会員が投資や副業の情報を受け取る範囲は変わりませんか。減る部分はありませんか。
内容を減らして料金を取るなら、不利益変更として個別の同意が必要になるからです。
有料化しない会員に、無料のまま残す機能と、期限を決めていますか。
既存会員の選択肢を示すことが、紛争の予防になるからです。
講座の修了者向けサロン、卒業後のコミュニティの位置づけ
講座の受講契約書に、「修了後は修了者向けのサロンに参加できる」と書かれていることがあります。この一文が、契約の中でどんな性質のものなのかを、決めておかないと、修了後にサロンの内容を変えたとき、終了したとき、会員が返金を求めたときに、争いになります。次の三つに分けて、別の条で書きます。
修了者向けサロンの三つの位置づけ
- 期間中のコミュニティ受講契約の期間に含まれるコミュニティは、役務の一部。中途解約の精算では、提供済みの部分として数える
- 満了後の無償の利用契約期間が終わった後に、追加の費用なしで続ける動画やコミュニティ。対価外の特典として、範囲、終了の事由、事前の通知を書く
- 有料の修了者サロン別の申込みと合意による別契約。金額、開始の時期、解約の方法を、受講契約書とは別に示す
三つを一つの条にまとめず、位置づけごとに別の条で書きます。
期間満了後の無償の利用は、含まれない内容(個別のコンサルティングなどのマンツーマンのサポート)、回答の時期や回数を保証しないこと、終了の事由と事前の通知を書き、新たな有料サービスの提供義務を意味しないことも明記して、無償の部分が恒久的な義務に変わることを防ぎます。書き方の例は投資・副業スクールの講座内容の変更・停止・終了で、決済代行の審査との関係で卒業後の提供物を区分する場面は決済代行・カード決済の審査と講座の書類で説明しています。
一方、有料の修了者向けサロンを設けるときは、受講契約書の中に混ぜません。受講契約書の中に自動的な移行を書き込むと、受講契約の精算や返金の計算に、サロンの会費が入り込み、双方の説明が複雑になります。有料サロンの申込画面で、金額、開始の時期、解約の方法、退会後の再入会の可否を説明し、受講契約とは別の申込みとして成立させます。受講契約の中でサロンを役務の一部として数える場合の精算の算式は、投資・副業スクールの返金と中途解約で説明しています。
サービスの見せ方によって、「まだコミュニティを利用できる期間が残っている」という主張がされやすくなることは、投資・副業スクールの講座内容の変更・停止・終了で説明しています。サロンやコミュニティを役務の一部として強く打ち出すのか、付随的なものとして位置づけるのかは、販売ページの訴求と、規約の構成の両方で、そろえて決める必要があります。
入会資格の「満20歳以上」と成年年齢18歳、会員どうしの発言の秘密保持
入会資格を「満20歳以上」とするサロンの規約は、少なくありません。民法4条は、年齢18歳をもって成年とすると定めています(2022年4月1日から)。18歳、19歳の人は、成年として、法定代理人の同意なしに契約できます。一方、未成年者が法律行為をするには法定代理人の同意が必要で、同意のない行為は取り消すことができます(民法5条1項・2項)。
ここで整理しておく点は、「入会資格を20歳以上に限ること」と、「成年年齢が18歳であること」が、別の問題だという点です。運営者が、入会の条件として20歳以上を定めること自体は、運営者が決める入会の条件であり、成年年齢の規定とは別に置けます。ただし、その理由を説明できるようにしておく必要があります。規約に書かれた理由が、成年年齢の古い扱いの名残にすぎないなら、整理し直すことが必要です。18歳、19歳は成年として自分で契約できるため、20歳以上と定める場合は、その人たちの申込みをどう断るか(理由の説明と断る手続)を決めます。18歳未満の申込者をどう扱うかも、あわせて書き分けます。
年齢の扱いの整理
| 申込者 | 民法上の扱い | 規約で決めておくこと |
|---|---|---|
| 20歳以上 | 成年 | 通常の入会の手続 |
| 18歳、19歳 | 成年(民法4条)。法定代理人の同意は不要 | 入会資格を20歳以上に限るなら、その旨と理由、申込みの段階での断り方 |
| 18歳未満 | 未成年者。法定代理人の同意が必要で、同意のない契約は取り消せる(民法5条) | 受け付けない、または法定代理人の同意を要件とする。年齢の確認の方法(生年月日の入力、本人確認の資料など) |
年齢を偽って申し込んだ未成年者が取消しをできなくなるかは、民法21条の詐術に当たるかどうかが個別に問われます。申込みの段階で年齢を確認する方法を整えておくほうが、後で説明しやすくなります。
もう一つの点が、会員どうしの発言の秘密保持です。サロンの秘密保持条項には、サロンの利用に関連して知り得た、運営者や他の会員に関する業務情報、技術情報、契約内容、個人情報、発言内容、案件情報その他の一切の非公開情報を、第三者に開示、漏洩、複製、公表してはならないと定め、その義務を退会後も一定期間存続させるものがあります。投資・副業のサロンでは、会員が自分の収入、資産、損益、家族の事情を投稿することがあります。これらの情報を、会員が外部に出さないようにすることは大切です。ただ、「一切の非公開情報」という範囲は広すぎて、何が対象なのかが分かりません。
書き直しの方向は三つあります。第一に、対象を、会員限定の場に投稿された他の会員の個人情報、収入や資産に関する情報、案件の具体的な内容など、具体的に挙げること。第二に、公知の情報、既に知っていた情報、正当に第三者から取得した情報、法令により開示を求められた情報などの例外を置くこと。第三に、運営者の側の義務も書くことです。会員の投稿や録画を、事例として発信や教材に使うときは個別の同意を得る、会員限定の場の投稿を運営者が目的外に使わない、という定めです。運営者が会員の財産に関する情報を扱う場面の整理はマネー講座の個人情報とプライバシーポリシーで説明しています。
条文例会員限定の場での投稿の秘密保持(組み立ての一例)
- 会員は、本サロンの会員限定の場に他の会員が投稿した、その会員の氏名、連絡先、収入、資産、損益、家族に関する情報、及び案件の具体的な内容を、運営者及び当該会員の同意なく、第三者に開示し、又は会員限定の場の外に転載してはならない。
- 次のいずれかに当たる情報には、前項を適用しない。(1)公知の情報、(2)既に正当に知っていた情報、(3)正当な権限のある第三者から適法に取得した情報、(4)法令又は裁判所若しくは行政機関の命令により開示を求められた情報。
- 運営者は、会員限定の場に投稿された情報を、本サロンの運営の目的の範囲を超えて利用しない。会員の投稿を事例として発信又は教材に用いるときは、当該会員の個別の同意を得る。
- 第1項の義務は、会員が退会した後も、○年間存続する。
存続の期間は、保護する情報の性質に応じて定めます。条文例は組み立ての一例です。
起きがちなこと
よくあるご質問
入会金は「いかなる理由でも返金しない」と書いてよいですか。
入会金の性質を書かないままの全面的な不返還は、勧められません。学納金をめぐる最高裁判所第二小法廷の平成18年11月27日判決(平成17年(受)第1158号)は、入学金を、特段の事情がない限り入学し得る地位の対価と捉える一方、授業料等の不返還特約は、解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の性質を持つものとして消費者契約法の平均的な損害の規定(現在の9条1項1号)で判断しました。サロンの入会金も、入会の手続の費用、利用の全期間の対価、資格の取得の対価のどれなのかを決め、運営者の都合で終わる場合や、事由に当たらない取消しの場合の扱いを別に書きます。
運営者の判断で、理由を示さずに会員資格を取り消せると書いてもよいですか。
消費者を相手にする場合、理由を示さず事業者の裁量だけで取り消せるとする条項は、消費者契約法10条の評価を受けます。取消しの事由を具体的な行為で挙げ、注意、是正の求め、停止、取消しと段階を踏み、重大な事由に限って催告なしに取り消せる形にします。成立前の拒否は、客観的な事由に限り、理由の概要を知らせて受領金を返します。
サロンで運営者が銘柄の話をすると、投資助言になりますか。
会費は報酬に当たり得ます。報酬を受けて、有価証券や金融商品の価値等の分析に基づく投資判断について助言を行う契約と、それに基づく助言は、金融商品取引法2条8項11号の定義にかかわります。実際に当たるかどうかは、運営の実態で決まります。個別の銘柄、売買の時期、数量を示す運営は避け、運営者向けの発言のルールを定めておきます。
講座の修了者向けのサロンは、受講契約書にどう書けばよいですか。
期間中のコミュニティは役務の一部、契約期間満了後の無償の利用は対価外の特典、有料の修了者サロンは別の申込みと合意による別契約、というように位置づけを分けて、別の条で書きます。無償の部分には、含まれない内容、回答の保証をしないこと、終了の事由と事前の通知、有料サービスの提供義務を意味しないことを書き、恒久的な義務に変わらないようにします。
入会資格を20歳以上にしているのは、問題ですか。
入会の条件として20歳以上を定めること自体は、成年年齢(民法4条、18歳)とは別の問題です。ただし、18歳、19歳は成年なので、成年だから同意は要らないという前提で設計する必要があり、20歳以上とした理由を説明できるようにしておきます。18歳未満の申込みは、受け付けないか、法定代理人の同意を要件とし(民法5条)、年齢の確認の方法を申込みの段階で整えます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の講座やサービスが投資助言・代理業、業務提供誘引販売取引などに当たるかは、勧誘の方法や講座の実態によって結論が変わります。本サイトは個別の投資判断や投資の助言を行うものではありません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 金融庁