このページの要点
- 紹介報酬は広告掲載型・金融商品仲介業・IB型に分かれ、型ごとに金商法上の見方が違います。
- リンクの掲載と、申込みの取りまとめや入力の補助とでは、媒介への近さが大きく異なります。
- 提携契約は、報酬の発生条件・規約変更・契約終了後・返還の四つを先に読みます。
- 報酬を受ける事実の開示と、受講契約書・収益分配契約・個人情報の扱いをそろえます。
結論:紹介報酬は「広告」「仲介」「IB」の三つの型に分かれ、型で必要な登録も契約書の中心も変わる
証券会社やFX会社から口座開設の紹介報酬を受ける前に決めるべきことは、報酬の額より先に、自分がどの型で関わるかです。広告を載せて申込みを案内するだけの型、証券会社等の委託を受けて登録のうえで行う金融商品仲介業の型、取引の成立に尽力して継続的に報酬を受けるIBの型では、金融商品取引法(以下「金商法」)上の見方も、契約書で厚く書く条項も違います。
投資・マネー系の講座や配信の運営者が、証券会社やFX会社の側から「紹介した人が口座を開設すれば報酬を払う」という提携の話を受ける場面は、実務で少なくありません。窓口は取引業者本体のこともあれば、広告の取りまとめ会社のこともあり、書面の名前も「紹介者規約」「提携契約書」「広告掲載規約」「パートナー契約」とまちまちです。名前では中身が分からないため、先に型を見分けます。
「IB」は、取引業者に顧客を紹介する者を指す実務上の呼び名(イントロデューシング・ブローカーの略)で、法律上の定義語ではありません。IBと名乗っていても、実際の行為が広告にとどまるのか、取引の成立に関わるのかで、法律上の見方が変わります。
三つの型の見分け方(実務での整理)
| 型 | 関わり方 | 金商法上の位置づけ | 契約書の中心 |
|---|---|---|---|
| 広告掲載型 | サイトや動画にバナー・リンクを載せ、申込みは提携先のページで本人が行う | 掲載にとどまる限り、登録の要否が正面から問われにくい整理が多い。ただし関与が深まると別(次章の行為ごとの見方) | 成果の定義、広告表示のルール、報酬の確定と返還 |
| 金融商品仲介業 | 証券会社等の委託を受け、登録を受けて、売買の媒介などを行う | 内閣総理大臣の登録が必要(金商法66条)。委託元の所属金融商品取引業者等が責任を負う仕組み(66条の24) | 委託契約、顧客への明示、金銭の預託の禁止 |
| IB型 | 取引業者と継続的に提携し、紹介した顧客の取引量に応じた報酬を受ける | 店頭デリバティブ取引(店頭FXなど)の媒介は第一種金融商品取引業に当たり得る(28条1項2号・29条)。次章で条文を確認 | 報酬の算定、顧客の帰属、解約後の扱い |
表の中の位置づけは条文の読み方を整理したもので、個別の取引が当たるかどうかは行為の実態で決まります。
投資スクールの側では、すでに「口座開設の導線を講座から外す」方針の受講契約書を使っていることがあります(投資スクールの契約書と投資助言・代理業の線引き)。本記事は反対に、紹介報酬を収益の一部として受け取る場合に何を整えるかを扱います。問題になるのは、受講契約書・日々の発言・提携契約が別々の方向を向いていることです。
条文で確かめる:登録が要る行為と、行為ごとの見方
結論として、リンクを載せるだけの行為と、申込みの取りまとめや入力の代行までする行為とでは、評価が大きく分かれます。条文は「媒介」という言葉を使いますが、どこまでが媒介かは、条文の文言だけでは決まらず、関与の深さで見られます。
金商法2条8項は金融商品取引業の内容を列挙しており、2号は有価証券の売買等の「媒介」、4号は店頭デリバティブ取引又はその「媒介」を挙げています。FXのうち取引所を通さない店頭取引は、4号の店頭デリバティブ取引に当たり得ます。この媒介を業として行うことは、28条1項2号で第一種金融商品取引業とされ、29条は、金融商品取引業を内閣総理大臣の登録を受けた者でなければ行えないと定めています。
では「金融商品仲介業」で足りるかというと、条文を読む限り、そう簡単ではありません。2条11項は、金融商品仲介業を、第一種金融商品取引業又は投資運用業を行う金融商品取引業者や登録金融機関(所属金融商品取引業者等)の委託を受けて、次の行為を当該業者のために行う業務と定めています。すなわち、有価証券の売買の媒介(1号)、取引所取引や外国金融商品市場の取引の委託の媒介(2号、8項3号に規定する媒介)、募集・売出し等の取扱い(3号)、投資顧問契約等の締結の媒介(4号)です。この列挙に、8項4号の店頭デリバティブ取引の媒介は入っていません。そのため、店頭FXの口座開設を媒介する提携は、仲介業の登録で足りると考えるのではなく、どの型の関与なのかを提携先に確かめるところから始める必要があります。
仲介業の登録を受ける場合は、66条の2第1項4号が所属金融商品取引業者等の商号の記載を求めており、委託元が決まっていることが前提です。登録後の義務も重く、あらかじめ顧客に所属業者の商号と「代理権がない旨」などを明らかにすること(66条の11)、いかなる名目でも顧客から金銭・有価証券の預託を受けないこと(66条の13)が定められています。所属業者は、委託につき相当の注意をし、損害の発生の防止に努めたときを除き、仲介業者が顧客に加えた損害を賠償する責任を負います(66条の24)。
海外の業者についても触れます。58条の2は、外国証券業者が国内の者を相手方として、有価証券関連業に当たる行為(28条8項各号)をすることを原則として禁じています。通貨関連の取引を含め、登録を受けずに国内の顧客向けの金融商品取引業を行うことは29条の問題になります。業者の登録の有無を確かめないまま紹介して報酬を受けると、受講生が被害に遭った場面で、紹介した事実が重く受け止められます。
紹介の場面ごとの見方(目安)
- 当たらない方向提携先の広告バナーを掲載し、申込みはすべて提携先のページで本人が行う掲載にとどまり、取引の説明や申込みの取りまとめに関与していません。表示は、誤認を招かない書き方にします。
- 当たり得る動画で利用した感想を話し、概要欄に口座開設のリンクを置く感想の範囲か、特定の会社への勧誘かは、発言の中身と頻度で見られます。利益の示唆や断定が加わるほど、勧誘に近づきます。
- 当たる方向口座開設の入力を手伝う、申込書類や本人確認書類を集めてまとめて提出する申込みの取りまとめ・代行に近く、取引の成立に尽力する行為として見られる方向です。書類の管理は個人情報の面でも負担が大きくなります。
- 当たる方向受講生から証拠金や入金を預かり、口座へ振り込む仲介業者には預託を受けること自体が禁じられています(66条の13)。登録の有無にかかわらず避けます。
- 当たる方向国内で登録の確認できない海外業者の口座を案内する業者側の登録の問題(29条)に、案内した側が関与する形になります。受講生の被害と結びつきやすい場面です。
判断は個別の事情によります。表の「当たる方向」は、登録が必要になり得る行為に近づくという意味です。
報酬を受け取る講座運営者は、受講生に何を伝えておくべきですか?
受け取ること自体より、受け取っていることを伝えないまま「おすすめ」を語ることが、問題を大きくします。開示の方法を決めておけば、受け取る方針でも説明がつきます。
- 報酬を受ける事実:特定の会社の口座開設について提携先から報酬を受けることがある、という一文を、リンクの近くと受講契約書の両方に置きます。
- 選び方の基準:なぜその会社なのかを、手数料や取扱商品などの客観的な基準で説明できるようにします。報酬が高いから、という理由が透けると、中立性が疑われます。
- 申込みは自由であること:口座を開設しなくても講座の内容や返金の扱いは変わらず、他の会社の口座を使ってもよい、と書きます。
- 利益の表示:「この口座で月に○万円」のような断定を避けます。金融商品取引業者等については、顧客に断定的判断を提供する勧誘が禁じられており(金商法38条2号)、仲介業者にも同じ禁止が及びます(66条の14第1号ロ)。登録の有無にかかわらず、同じ水準の慎重さが期待されます。
広告であることの表示も要点です。事業者の広告でありながら広告と分からない表示については、景品表示法5条3号に基づく告示が令和5年10月1日から運用されています。消費者庁の説明では、規制の対象は商品・サービスを供給する広告主であり、広告主から依頼を受けた第三者は対象外とされています。そこで広告主の側が、提携契約で紹介者に「広告であることの表示」を義務づける条項を置く例があります。紹介者は、これを自分の投稿や動画の文面に反映させておくのが安全です。発言の線引きは投資・マネー講座の発言ガイドライン、成績や利益の表示は「稼げる」「利益が出た」の表示と消費者契約法で扱います。
受講生が、紹介された会社で取引して損失を出した場面も想定しておきます。紹介者は取引の当事者ではなく、提携先の代理人でもありません。提携契約の側では、紹介者が提携先の代理権を持たないことと、取引の条件や商品の説明を紹介者が行わないことを確認する条項を置くのが通例です。受講契約の側では、取引の判断と結果は受講生が負うこと、講座は個別の取引の助言をしないことを、紹介の開示条項の隣に置きます。ただし、実際に個別の取引を勧めている運用の免罪符にはなりません。
受講契約書との整合も確かめます。「口座開設の導線を提供しない」という趣旨の条項を残したまま提携リンクを置けば、自分の契約書に自分で反します。紹介を始めるなら、その条項を実態に合わせて書き直します。
条文例受講契約書の条文例(提携先の紹介と報酬の開示)
- 乙は、本講座の運営に関連して、甲が提携する金融商品取引業者その他の事業者の口座開設の案内を掲載することがあります。この場合において、甲は、当該事業者から、乙の口座開設その他の条件の達成に応じた報酬を受けることがあります。
- 前項の案内は、当該事業者の取扱商品又はサービスの一般的な情報の提供として行うものであり、特定の取引の勧誘、投資助言又は利益の保証を内容とするものではありません。
- 乙は、前項の案内に従って口座を開設する義務を負わず、口座を開設しないことによって本講座の内容、料金又は返金の取扱いが変わることはありません。
- 甲は、乙から金銭又は有価証券を預かること、乙に代わって口座開設の申込書類を作成し、又は提出することを行いません。
第4項は、媒介に近づく行為を契約上も外すためのものです。第1項の開示は、受講申込みの画面や確認書にも同じ趣旨で載せます(投資スクールの確認書・重要事項確認書)。
提携先から示される書面は、どの書式で来ることが多いですか?
実務で見かける書式は大きく四つです。どれかを見分けると、報酬の条件がどこに書かれ、誰が変更できるかが先に分かります。
- 規約型:紹介者がウェブの登録フォームで同意して成立し、報酬額・支払日・紹介を受け付ける期間が規約本文に書かれます。通知だけで料率を変えられる条項が付くことが多く、交渉の余地は小さい書式です。受付期間を数日から数週間に区切るキャンペーン型では、期間外の紹介は対象になりません。
- 個別の紹介契約・業務提携契約型:報酬の割合を「一定の範囲で協議」「別紙または電子メールで定める」と書き、成果の判定基準や、紹介者が複数いる場合の優先順位を後日の合意に回している例が目立ちます。後日の合意が整わないまま紹介が進むと、報酬が争いになります。
- アフィリエイト方式の代理店契約:専用リンクの経由を成果の条件にし、リンクの貸与・改変、自己申込み、不正クリックを禁じます。違反時は支払停止に加え、支払済みの報酬の返還を、請求から2週間程度の短い期限で求める条項が付くことがあります。
- レベニューシェア型:売上から原価と販売管理費を引いた営業利益を、一定の割合で分けます。何を原価・販売管理費に含めるかの定義が分配額を左右し、月次の収支明細書への異議の期間が争点になります。
報酬が取引業者から紹介者へ直接支払われる構造では、間に入る運営会社との契約に「報酬の算定と支払について運営会社は責任を負わない」と書かれ、減額や停止が起きたときの責任の所在が見えにくくなります。契約終了日に有効な登録者の分だけを支払い対象とし、それ以前に登録が無効になった分は払わない、という未収金の定めが置かれることもあります。終了時の扱いは契約の段階で確かめます。
よくある失敗と直し方:提携先から示された契約書の読みどころ
提携先から示される契約書は、提携先に有利な書き方になっていることが多く、報酬の発生条件、規約変更、解約後の扱いに論点が集まります。次の十が、実務で見直しの対象になりやすい箇所です。
書き方の例(一般的な例) |提携契約・紹介者規約の条項
報酬が発生する条件
理由「滞りなく」のような幅のある言葉は、提携先の判断で支払を否認できる余地を残します。客観的な条件に置き換えると、後から争う点が減ります。
規約の変更
理由報酬は申込みの時点の条件に期待して発生させるものです。変更が過去分に及ぶと、すでに集客した成果が目減りします。
契約終了後の報酬
理由口座開設から入金や取引量の達成まで時間がかかるため、終了直前の成果が丸ごと失われる設計になりやすいからです。
報酬の返還
理由返還の事由が提携先の判断だけで決まると、いつまでも報酬が確定しません。事由と期間を決めると、紹介者の側も収支を見通せます。
他社の紹介の禁止
理由期間・地域・対象を限らない競業の禁止は、公序良俗に反して無効とされるおそれがあります(民法90条)。講座の中立性とも衝突します。
成果と認める経路
理由条どうしで経路が食い違うと、請求する側も否認する側も、都合のよい条を引けます。
既存の口座保有者・重複紹介
理由認定が提携先の裁量で、しかも後出しだと、紹介者が集めた成果が後から消えます。
異議を述べる期間
理由確認する前に期限が来ると、誤りがあっても争えなくなります。
契約を解除されたときの未払報酬
理由全部不支給は、違反の軽重と無関係に、成果が出た分まで失わせます。
紹介者の賠償責任
理由少額の報酬に対し、片方だけが無制限の補償を負う構造になるからです。
これらは事業者どうしの契約として整えるものです。受講生に対する責任は別で、受講生(消費者)に向けた契約書で、紹介に関する損害の賠償責任を全部免除すると読める書き方は、消費者契約法8条1項1号・3号で効力が認められないことがあります。免責を置くなら、故意又は重大な過失の場合を除く旨を、免責を定める一文の中に書きます(同条3項)。
報酬の設計:成果の定義・返還・重複・計算例
紹介報酬の契約は、成果に対して報酬を払う約束です。民法は、委任事務の履行により得られる成果に対して報酬を支払うことを約した場合の定めを置いており(648条の2)、受任者は特約がなければ報酬を請求できない(648条1項)とされています。報酬が生じる場面を契約で細かく決めておく必要があるのは、このためです。
口座開設報酬が確定するまでの段階(例)
- 申込み紹介リンクから提携先の申込みページへ。リンクの記録(識別子)が成果の根拠になります。
- 口座開設提携先の審査を経て開設が完了。この時点を成果とするか、さらに先とするかを決めます。
- 入金・取引最低入金額や取引数量などの条件を、期間内に満たしたかどうかを確認します。
- 確定・支払月ごとに集計し、通知のうえ報酬を確定。支払の時期を定めます。
- 返還の期間確定後に取消し・不正が判明した場合の返還請求の期間を区切ります。
どの段階を「成果」とするかで、報酬が確定する時期と、返還に備える期間が変わります。
計算例で確認します。次の数字は、仕組みを示すための仮の数字です。ある月に紹介リンク経由の申込みが40件あり、うち開設が完了したものが28件、さらに契約で定めた入金と取引の条件を期間内に満たしたものが15件だったとします。報酬の条件を「条件の達成」と定めていれば、1件あたりの報酬が8,000円なら、15件で120,000円が対象です。開設が完了しただけの13件は、条件の達成がなければ報酬の対象になりません。
この月の報酬が確定した後に、条件の達成から一定期間内の出金や解約、自己申込みが分かった口座が3件あれば、返還の対象は24,000円です。契約に「翌月以降の報酬から差し引く」とあれば、翌月の支払で調整されます。返還の期間と相殺の方法が書かれていなければ、実質の報酬は120,000円から24,000円を引いた96,000円のはずなのに、支払済みの金額を返すのか差し引くのかで争いになります。
ほかに、次の点を決めます。
- 重複する紹介:同じ人が複数の紹介者のリンクから申し込んだときは、先に記録されたものを成果とするか、最後のものとするかを定めます。
- 既存の顧客:すでに提携先に口座を持つ人の申込みは対象外とし、その確認の方法(紹介者への事前の通知か、開設時の照合か)を書きます。確認の方法がないと、後から既存顧客として報酬を否認される余地が残ります。
- 自己申込み:紹介者自身や、その家族・関係者の申込みを対象外にするかどうかを定めます。
- 支払の時期:月ごとの締めと支払日を決めます。個人に継続して報酬を払う委託がフリーランス法の業務委託に当たる場合は、委託する側(業務委託事業者)に報酬の額などの明示(3条)が、さらに特定業務委託事業者に当たる場合は、支払期日を受領から60日以内とする定め(4条)が及びます。
条文例提携契約の条文例(報酬の発生・確定・返還)
- 乙の紹介リンクを経由して申込みがされ、甲が定める口座開設の完了後、紹介を受けた者(以下「紹介先」という。)が、口座開設の完了から○日以内に、次の各号のすべてを満たしたときに、乙は報酬の支払を請求できる。
(1) 最低入金額○円以上の入金
(2) 取引数量○単位以上の取引
(3) 甲が管理画面に記録する識別子により、乙の紹介リンクの経由が確認できること - 甲は、毎月末日を締めとして前項の達成状況を集計し、翌月○日までに、その内容を乙に通知する。乙は、通知の到達から○日以内に限り、異議を述べることができる。
- 甲は、前項の通知後○日以内に、報酬を乙の指定する口座へ振り込む。
- 乙又は乙の関係者による申込み、虚偽の申込み、その他本契約に違反する勧誘に基づく申込みについては、報酬の対象外とし、支払済みの報酬があるときは、甲は、確定から○か月以内に限り、事由を示して返還を請求できる。甲は、請求の前に、乙に説明の機会を与える。
第2項の異議の期間は、短すぎると事実上の承認になるため、長さを確かめます。第4項の返還の期間・事由の限定が、先の表の直し方に対応しています。
条文例提携契約の条文例(重複紹介・既存の口座保有者・異議・終了後)
- 同一の紹介先について複数の紹介者の記録があるときは、甲が管理画面に最初に記録した識別子の紹介者の成果とする。
- 甲は、紹介の受付時に、紹介先が既存の口座保有者であるかを照合し、乙に通知する。受付後に、紹介先が既存の口座保有者であることを理由に報酬の対象から除くことはできない。
- 乙は、報酬の通知に異議があるときは、通知の到達から14日以内に述べることができる。甲は、異議があったときは、当該口座に係る管理画面の記録を乙に開示する。
- 本契約が終了したときは、終了前に口座開設が完了した紹介先のうち、終了日から○か月以内に第○条第1項の条件を満たしたものについて、乙は報酬を請求できる。ただし、乙の違反が当該口座の申込みに関係するときは、その口座の報酬は対象外とする。
第2項は既存顧客の認定を後から行えない設計に、第4項は違反と無関係な口座の報酬を失わない書き方にするものです。
収益分配と個人情報:口座開設報酬が混ざる場面
報酬を運営会社と講師や配信者で分ける場合、口座開設報酬が分配の対象に入るかどうかを、契約に書いておかないと、月次の精算で食い違います。もう一つ、受講生の情報を提携先に渡す場面は、個人情報の面で独立した確認が要ります。
収益の分配では、「対象収益」の範囲を定めます。講座の売上だけを分けるのか、広告収益や口座開設報酬などの付随的な収入も含めるのかで、分配額が変わります。後日の食い違いを避けるには、含める収入を列挙しておくのが安全です。あわせて、広告宣伝費や決済手数料などの経費をどこまで引いてから分けるのか(粗利益の定義)、報酬の返還が出た月の精算をどうするのかも決めます。
仮の数字で確認します。ある月の口座開設報酬の合計が150,000円、そのために使った広告費が30,000円だったとします。引いた後の120,000円を運営会社7、講師3で分ける契約なら、運営会社が84,000円、講師が36,000円です。翌月に返還が24,000円生じたとき、返還分を翌月の対象収益から差し引く定めがなければ、すでに受け取った講師の持分を返すのか、運営会社が負担するのかが争いになります。
個人情報については、受講生の氏名や連絡先を提携先に渡す運用は、個人データの第三者提供に当たり得ます。個人情報保護法27条1項は、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ずに個人データを第三者に提供することを禁じています。同条5項1号の委託は、利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託する場合であり、提携先が自らの営業のために受け取る情報は、これに当たらないのが通常です。受講生自身が提携先のページに入力し、運営者が申込情報を受け取らない運用が最も負担が少なく、受け取る場合は同意を取り、プライバシーポリシーに提携先への提供を書きます(マネー講座の個人情報とプライバシーポリシー)。本人確認書類を運営者が預かる運用は避けます。
自動売買ソフトなど、口座と連動するツールを講座で配る場合は、ツールの規約と口座の案内が一体として見られます。この点はEA・自動売買ソフトの利用規約と使用許諾契約で扱います。
ヒヤリングで確認すること
次の問いは、実務で後から食い違いが出やすい順に並べたものです。
ヒヤリングの問い|口座開設の紹介報酬
提携の相手は取引業者本体か、広告の取りまとめ会社か。どの名称の書面が示されていますか。
窓口が取りまとめ会社だと、報酬の確定や返還の判断が二重になり、読むべき契約も二本になります。
紹介の方法は、リンクの掲載だけですか。口座開設の入力の補助や、書類の取りまとめはありますか。
媒介に近づく行為の有無で、避けるべき行為と、契約書で外す行為が変わります。
紹介する会社は、国内で登録を受けている会社ですか。海外の会社が含まれますか。
登録の有無は、受講生の被害と紹介者の責任の大きさに直結します。登録番号の確認を運用に入れます。
報酬が生じるのは、申込み・開設・入金・取引のどの段階ですか。
段階で確定の時期と返還に備える期間が変わります(前章の流れ)。
示された書面は規約型ですか、個別の契約ですか。料率や条件を、提携先が通知だけで変えられる条項はありますか。
規約型は交渉の余地が小さく、変更の通知期間と解約の自由が実質の保護になります。個別の契約型は、後日の合意に回された事項を洗い出します。
紹介の受付時に、既存の口座保有者かどうかを照合する仕組みはありますか。複数の紹介者の記録が重なったときの優先順位は決まっていますか。
照合が受付後だと、成果が後から否認される余地が残ります。優先順位が契約になければ、同じ人をめぐる食い違いが提携先の判断に委ねられます。
報酬の通知に異議を述べられる期間は何日ですか。みなし承認の条項はありますか。契約が終了した時点で条件未達の口座は、どう扱われますか。
短い期間のみなし承認は、確認前に争う機会を失わせます。終了日に有効な口座だけを対象にする書き方は、終了直前の成果を消します。
受講契約書に、口座の紹介を行わないという趣旨の条項や、確認書の記載はありますか。
実態と書類が食い違っていると、受講生からの主張の足場になります。
報酬を、運営会社と講師・配信者で分けますか。口座開設報酬は分配の対象ですか。
対象収益に含めるかどうかが、精算の食い違いの最大の原因です。
受講生の情報を提携先に渡す場面はありますか。受講生が自分で入力する形になっていますか。
第三者提供の同意の要否と、プライバシーポリシーの記載が変わります。
起きがちなこと
よくあるご質問
口座開設のリンクを貼って報酬を受けるだけで、登録は必要ですか。
掲載にとどまり、取引の説明や申込みの取りまとめに関与しない運用であれば、登録が正面から問われにくい整理が多いです。ただし実態で見られ、口座開設の入力の補助、書類の取りまとめ、特定の会社への勧誘が加わると、金商法上の媒介に近づきます。店頭FXの媒介は、仲介業の登録の対象としては条文に挙がっていない点にも注意が必要です。
証券会社やFX会社の提携契約書で、まず見る箇所はどこですか。
報酬が発生する条件、規約変更で条件を変えられる範囲、契約終了後の扱い、報酬の返還の事由と期間です。このほか、既存の口座保有者の認定の時期、異議を述べられる期間、解除されたときの未払報酬の扱いも見ます。いずれも提携先に有利な書き方になりやすく、後から金額に直結します。
受講契約書に口座開設の導線を提供しないと書いてあるのに、紹介報酬を受けてもよいですか。
書類と実態が食い違い、受講生の主張の足場になります。受ける方針なら、受講契約書の条項を実態に合わせて書き直し、報酬を受けることと口座開設が任意であることを開示します。
海外FX会社の口座を紹介するときの注意はありますか。
登録を受けずに国内の顧客向けに金融商品取引業を行うことは、金商法29条が認めていません。登録の有無を確かめないまま紹介して報酬を受けると、受講生の被害の場面で紹介の事実が重く見られます。登録を確認し、確認できない会社は紹介しないことを運用に入れます。
口座開設報酬を、運営会社と講師で分ける契約には何を書きますか。
対象収益に口座開設報酬を含めるか、経費をどこまで引いて分けるか、報酬の返還が出た月の精算をどうするかを書きます。含める収入を列挙しておくと食い違いが減ります。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の講座やサービスが投資助言・代理業、業務提供誘引販売取引などに当たるかは、勧誘の方法や講座の実態によって結論が変わります。本サイトは個別の投資判断や投資の助言を行うものではありません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 金融庁