このページの要点
- 成年年齢は18歳(民法4条)。18歳・19歳には「同意がない」ことを理由にした取消しは使えないが、消費者契約法4条による取消しは契約から5年まで主張され得る。
- 17歳以下を受け付けるなら、承諾の前に同意を確認する。受け付けないなら、受講資格を18歳以上とし、申告だけに頼らず年齢を確認する。
- 高齢の受講者には、不安をあおる勧誘をしない。後見等の審判を受けたことのみを理由とする解除権は無効(消費者契約法8条の3)。
- 借入れに誘導せず、信販の審査に通らなかったときの契約の扱いを先に決める。督促は本人に限り、家族への連絡は本人の同意を前提にする。
結論:18歳・19歳は「親の同意なしで契約できる成年」だが、取消しの道は消えていない
成年年齢は2022年4月1日から18歳です(民法4条)。18歳・19歳の申込みに親権者の同意は要らず、「同意がなかった」ことを理由にした未成年者取消し(民法5条2項)も使えません。ただし、断定的な説明や不安をあおる勧誘があれば、消費者契約法4条で取り消されます。高齢の受講者や、借入れ・分割で払う受講者も同じで、結論を決めるのは年齢や支払方法そのものではなく、「どう勧誘し、どう支払を組んだか」です。
投資・副業・マネーの講座には、学生、就職したばかりの若い世代、退職金や年金の運用に関心を持つ高齢の方が、同じ申込みフォームから入ってきます。年齢や属性が違えば、問題になる法律も違います。このページでは受講者を四つの場面に分け、契約書・規約・勧誘の手順に何を書くかを整理します。
分割払いそのものの法的な整理(自社の分割が割賦販売に当たるか、カード・信販を使ったときの抗弁など)は講座代金の分割払いと割賦販売法で、勧誘の内容を受講者に確認してもらう書面の作り方は投資スクールの確認書・重要事項確認書で扱っています。このページでは、年齢・属性によって同じ条項がなぜ通らなくなるかと、若い受講者・高齢の受講者の支払まわりで何を避けるかに絞ります。
18歳・19歳の受講者は、2022年4月1日の前と後で何が変わったか
結論から言えば、変わったのは「受講者本人が単独で契約を結べるようになった」ことと、「あとから、親の同意がなかったことだけを理由に取り消すことができなくなった」ことの二点です。法務省は、民法の成年年齢を20歳から18歳に引き下げる改正が令和4年(2022年)4月1日から施行されたと公表しています。
以前は、18歳・19歳は未成年者でしたので、親権者(法定代理人)の同意を得ずに高額の講座を申し込んだ場合、本人や親権者が契約を取り消せました(民法5条2項)。引下げ後は、この取消しの根拠は、17歳以下の受講者に限られます。
実務では、古い雛形を流用した規約に、「未成年者」の年齢の基準が書かれないまま親権者の同意を求める定めだけが残り、成年の受講者に同意書を求めたり、逆に17歳の受講者を成年として扱ったりする食い違いが起きがちです。また、「学生」と「未成年者」を同じものとして扱うのも誤りです。大学生・専門学校生の大半は18歳以上で成年ですから、学生かどうかではなく、年齢で分けて書きます。
年齢区分ごとの違い
| 申込者 | 親権者の同意 | 同意がないことによる取消し | 事業者が確認すること |
|---|---|---|---|
| 17歳以下 | 必要(民法5条1項) | 取り消せる(民法5条2項) | 同意の有無、年齢の確認、支払う人は誰か |
| 18歳・19歳 | 不要(成年) | この理由では取り消せない | 勧誘の内容と記録。消費者契約法4条による取消しへの備え |
| 20歳以上 | 不要 | この理由では取り消せない | 同上。高齢の受講者は判断力の問題が加わる |
「同意がないことによる取消し」が使えない18歳・19歳でも、消費者契約法4条や民法95条・96条による取消しの主張は残ります。
未成年者取消しという大きな取消事由がなくなると、紛争の争点は「勧誘の内容」に集まります。たとえば、受講者が「稼げると思って申し込んだ」と主張する場合、民法95条の錯誤として取り消すには、その事情(稼げるという見込み)が契約の基礎とされていることが表示されていたことが必要です(同条1項2号、2項)。勧誘の場で「この講座なら稼げます」と言っていれば、その表示があったと主張されやすくなります。事業者が言った言葉が、そのまま取消しの材料になる構造です。勧誘で使ってよい表現・使ってはいけない表現は「稼げる」の表示と消費者契約法、講座の中での発言は発言ガイドラインで扱っています。
取消権が使える期間の目安(計算例)
| 取消しの根拠 | 期間の定め | 例 |
|---|---|---|
| 17歳以下の申込みの取消し(民法5条2項) | 追認をすることができる時から5年。行為の時から20年を過ぎたときも消滅(民法126条) | 17歳で申し込み、18歳の誕生日に成年となり、取消権があることも知ったとすれば、その時から5年が目安。追認ができるのは、成年になり、取消権を知った後です(民法124条1項) |
| 消費者契約法4条の取消し | 追認をすることができる時から1年。契約の締結から5年を過ぎたときも消滅(消費者契約法7条1項) | 19歳で契約し、誤認していたことに21歳で気づいたとすれば、気づいた時から1年以内、ただし契約から5年以内 |
期間の考え方を示す一般的な例です。
表のとおり、消費者契約法による取消しの期間には、契約から5年という上限があります。若い受講者が20代のうちに「やはり説明と違った」と気づいて取消しを主張することも、期間の面では十分にあり得ます。契約書に「受領した受講料は返金しない」と書いてあっても、取消しが認められれば契約は初めから無効になるのですから(民法121条)、返金不可の条項で取消しは防げません。返金の設計は投資・副業スクールの返金と中途解約で整理しています。
よくある失敗と直し方:17歳以下の申込みと、年齢確認の条項
17歳以下を受け付けるなら、「親の同意を得たものとみなす」「同意がなければ責任を負わない」といった一方的な書き方ではなく、同意書で同意の範囲(契約と支払方法)を確認し、保護者に債務を負わせるなら別に書面で定めます。受け付けないなら、受講資格を18歳以上に限り、年齢の確認を申告だけにしないことが現実的です。
実務でよく見られる書き方と、その問題点を整理します。
書き方の例(一般的な例) |未成年者に関する条項
同意のない申込み
理由責任を負わないと書いても、同意のない契約は取り消せる状態のままです(民法5条2項)。取消しを防ぐのは条項ではなく、承諾の前に同意を確認する手順です。
年齢の偽り
理由取消しができなくなるのは、制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときです(民法21条)。「偽った」と書けば自動的に当たるわけではなく、事案ごとに判断されます。
保護者の責任
理由保護者が同意したことと、保護者が債務を負うことは別です。保証契約は書面(電磁的記録を含む)でしなければ効力を生じません(民法446条2項・3項)。
取消しの効果
理由取消権は、成年後に追認できる時から5年間は消滅しません(民法126条)。「成年になるまでに取消しがなければ有効」という書き方は、法律の期間と合いません。
年齢の確認
理由申告だけの確認では、17歳が18歳以上を選んだ場合に防げません。書類の提出を求める運用と、支払名義の確認を組み合わせます。
契約が取り消されると、その契約は最初からなかったものとして扱われます(民法121条)。17歳以下の受講者との契約が取り消されると、事業者は受講料を返す義務を負う一方、受講者側の返還義務は、現に利益を受けている限度に限られます(民法121条の2第3項)。提供済みの講座の対価を取り戻せるとは限りません。だから、同意の確認は承諾の前に置きます。
受け付けない場合の条文は、次のように書きます。年齢だけでなく、後で述べる高齢の受講者や、支払う人が別にいる場合も含めて、受講資格の条に一括して書いておくと、申込みの導線での確認と条文が一致します。
条文例受講資格と年齢の確認(17歳以下を受け付けない場合の例)
- 本講座の受講資格は、申込みの時点で満18歳以上であることとします。
- 申込者は、申込みの際に生年月日を入力し、事実と異なる申告をしてはなりません。当社は、受講の可否の判断のために必要があるときは、年齢を確認できる書類の提出を求めることができます。
- 申込者が前項の申告と異なり18歳未満であることが判明した場合、当社は、申込みを承諾せず、又は受講の提供を停止することができます。この場合、当社は、受領済みの受講料のうち、提供済みの役務の対価を除く額を速やかに返金します。
- 受講料の支払に用いる決済手段の名義は、申込者本人のものとします。ただし、支払をする者が申込者と異なる場合は、当社所定の書面により、支払をする者がその旨を承諾していることを確認します。
第3項の「提供済みの役務の対価を除く額」の算定方法は、返金の条項と合わせて定めておきます。上の条文は、一般的な書き方を新しく書き起こした例です。
受講資格を「事業として申し込む者」に限る書き方は、若い受講者への対策にはなりません(「事業者として申し込む」条項と「代理店登録」名目の受講契約)。
勧誘で取消しを招きやすい言い方:18歳・19歳・学生の場合
若い受講者への勧誘で取消しの対象になりやすいのは、①収益の見込みを断定すること(消費者契約法4条1項2号)、②進学・就職・生計への不安をあおること(同条3項5号)、③好意の感情を利用すること(同項6号)、④相談の連絡を威迫して妨げること(同項4号)の四つです。学生であること自体は取消事由ではなく、勧誘の中身で決まります。
消費者契約法4条は、事業者の勧誘によって消費者が誤認し、又は困惑して契約したときに、その契約の申込み又は承諾の意思表示を取り消せるとする規定です。投資・副業講座の勧誘に関わる部分を、順に整理します。
まず、1項1号は、重要事項について事実と異なることを告げる行為です。重要事項には、講座の内容、受講料などの対価、取引条件が含まれます。1項2号は、将来受け取るべき金額など、将来の変動が定まらない事項について断定的判断を提供する行為です。「この手法なら学生でも毎月安定して利益が出る」「元本割れはしない」は、典型的な断定的判断です。
次に、3項5号は、社会生活上の経験が乏しい消費者が、進学、就職、結婚、生計などの願望の実現に過大な不安を抱いていると知りながら、その不安をあおり、正当な理由がないのに、契約がその実現に必要だと告げる行為です。「今から投資を始めないと、就職してから差がつく」「奨学金の返済は、これで解決できる」といった言い方が、この類型に近づきます。
3項6号は、勧誘者に恋愛感情その他の好意を抱き、相手も同じだと誤信している消費者に、契約しなければ関係が破綻すると告げる行為です。SNSで個別に親しくなってから講座を勧める売り方は、この類型を点検します。
3項4号は、契約を相談するため他の人と連絡する意思を示した消費者に対し、威迫する言動を交えて連絡を妨げる行為です。このほか、4項は、通常の分量等を著しく超えると知りながら勧誘する過量契約を取り消せるとします。複数のコースを学生に重ねて勧めるときは注意が必要です。
勧誘の場面ごとの判定(一般的な整理)
- 当たる方向「この手法なら、学生でも毎月安定して利益が出ます」と説明した将来の利益という変動が定まらない事項についての断定的判断(4条1項2号)にあたります。
- 当たり得るSNSで個別に親しくなった後、「あなたにだけ特別に案内する」と言って申込みを促した受講者が好意の感情を抱き、勧誘者も同じと誤信していることを知りながら、関係の維持を契約と結びつけて告げた場合は、4条3項6号が問題になります。
- 当たる方向「親に相談したい」と言う受講者に、大声で「相談するなら契約しない」と言った威迫する言動を交えて相談のための連絡を妨げた場合にあたり得ます(4条3項4号)。穏やかな言い方でも、他の事情と合わせて不当な勧誘と評価されることがあります。
- 当たらない方向学べる内容と、成果は保証できないことを説明し、持ち帰って検討する時間を設けた説明が正確で、検討の機会があれば、取消しの原因になりにくい説明です。説明の内容は確認書に残します。
「学生である」ことは、それだけで「社会生活上の経験が乏しい」と決まるわけではありません。年齢、勤務経験、収入の有無など、事業者が知っていた事情を合わせて判断されます。
取消しの原因になるのは勧誘者の言葉と態度です。事業者側では、①説明が人によって違わないようスクリプトを統一する、②面談の録画やメッセージの履歴を残す、③契約の前に検討する時間を置く、の三つを決めておきます。勧誘を外部の紹介者や代理店に任せる場合は、使ってよい説明の範囲を書面で渡します。
講座の受講で仕事を紹介すると訴える売り方は、副業スクールと業務提供誘引販売取引で整理しています。
高齢の受講者:判断力・家族・解除条項の書き方
高齢の受講者への対応は、年齢で一律に断ることではなく、①契約の効力に関わる判断能力の問題、②不安をあおる勧誘の禁止、③事業者から解除できる事由の定め方、の三つに分けて組み立てます。「認知症等の診断を受けたとき解除できる」という条項は、書き方によっては無効になります。
退職金の使い道や年金の足しにしたいという関心から、投資講座に高齢の方が申し込むことは珍しくありません。年齢が高いことを理由に受講を断る必要はありませんが、申込みの時点で、三つの法律上の論点を押さえておきます。
第一は、契約の効力です。意思表示をした時に意思能力を有しなかった法律行為は無効です(民法3条の2)。また、家庭裁判所の審判で後見が開始された成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、取り消すことができます(民法9条)。保佐開始の審判を受けた被保佐人は、借財又は保証をするには保佐人の同意が必要で(民法13条1項2号)、同意を得ないでした行為は取り消すことができます(同条4項)。補助開始の審判を受けた被補助人についても、家庭裁判所の審判により、特定の法律行為に補助人の同意が必要とされます(民法17条)。分割払いや信販の利用が借財に当たるかは契約の組み方によりますが、被保佐人の申込みでは注意が必要です。ただし、申込みの時点で、事業者が相手方の審判の有無を知る手段は多くの場合限られます。そこで、申込み時に本人の申告を求める欄を設けることが実務の工夫になります。
第二は、勧誘の方法です。消費者契約法4条3項7号は、加齢又は心身の故障により判断力が著しく低下していることから、生計、健康その他の事項に関し、現在の生活の維持に過大な不安を抱いていることを知りながら、その不安をあおり、正当な理由がないのに、契約しなければ現在の生活の維持が困難になると告げる行為を取消事由としています。「年金だけでは老後は暮らせない。この講座を受けて運用しないと生活が苦しくなる」といった言い方は、この類型に近づきます。
第三は、解除条項です。高齢の受講者との契約で、実務ではよく、「事業者が、受講者の判断能力に疑義があると認めるときは、契約を解除できる」「受講者が成年後見開始の審判を受けたときは、契約を解除できる」という定めが置かれます。このうち、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を事業者に付与する条項は、無効です(消費者契約法8条の3。消費者が事業者に役務などを提供する契約を除きます)。診断名のみを理由に停止や解除ができるとする条項も、消費者契約法10条の観点から無効とされる可能性があります。
書き方の例(一般的な例) |判断力に関する解除条項
後見等の審判
理由審判を受けたことのみを理由に事業者が解除できる条項は、受講者が消費者の場合は無効です(消費者契約法8条の3)。解除権ではなく、通知と確認の手順として書き直します。
判断能力への疑義
理由事業者の判断だけで停止・解除ができる条項は、消費者の利益を一方的に害する可能性があります(消費者契約法10条)。理解の確認という手順に置き換えます。
条文例本人が指定する連絡先と、契約の確認(高齢の受講者に限らず使える例)
- 申込者は、申込みの際に、当社が申込者の受講に関して連絡をとることができる者(以下「指定連絡先」といいます。)を、任意に指定することができます。
- 当社は、申込者の理解の状況や受講の継続について確認が必要と判断したときは、まず申込者本人に連絡し、申込者が同意した範囲で、指定連絡先に連絡します。
- 指定連絡先は、契約の当事者ではなく、受講料の支払その他の債務を負いません。
指定連絡先への連絡は、個人データの第三者提供にあたり得るため、本人の同意を前提にします(個人情報保護法27条1項)。プライバシーポリシーとの整合はマネー講座の個人情報とプライバシーポリシーで扱っています。
申込みの導線では、高齢の方の勧誘は、その場で契約を結ばず、一度持ち帰って検討してもらうことを標準の手順にします。家族が代わりに手続をする場合は、契約者と支払をする人が誰かを、申込みの画面と書面の両方で確認します。
借入れ・分割で払う受講者への対応
受講者が受講料を借入れや分割で払う場面では、事業者は、①「借りてでも払う」方向に誘導しない、②信販会社の審査に通らなかったときの契約の扱いを先に決める、③滞納したときの督促を本人に限る、の三つを守ります。分割の法的な整理は、誰が受講者に与信するかで変わります。
受講料の「支払の原資」を三つに分けて確認する
受講者がどのようにして受講料を用意するかは、①自分の貯蓄や収入、②クレジットカードの分割・リボ払いや、事業者の自社分割、③消費者金融・カードローン・信販会社のローンなどの借入れ、に分けられます。③は、受講者が事業者以外の貸主から借りて、事業者に一括で払う形も含みます。投資の講座では、「受講料を取り戻せる」という期待から、③を選ぶ受講者が出てきます。
このとき事業者が避けるのは、借入れに向かわせる言葉です。たとえば、「すぐに取り戻せるから、借りてでも始めたほうがいい」「審査は誰でも通る」「月々の支払は少額で済む」と、総額を示さず月額だけを強調する説明です。受講料の総額や支払の条件は、消費者契約法4条1項1号の重要事項(対価その他の取引条件)に当たり得るため、事実と異なる説明や、都合のよい面だけの説明は取消しの原因になります。
信販会社の審査に通らなかったとき
信販会社のショッピングクレジット(個別信用購入あっせん)を使う場合、信販会社は、割賦販売法により、受講者の支払可能見込額の調査と、それを超える与信の禁止の義務を負います(35条の3の3・35条の3の4)。学生や収入の少ない若い受講者、年金で暮らす高齢の受講者は、審査で承認されないことも少なくありません。そのとき、受講契約が成立しているのか、いないのかが曖昧だと、受講の開始や返金をめぐって紛争になります。
実務では、受講契約を「信販会社の審査に承認されたこと」を条件にして成立させる書き方や、承認されなかったときは、一括払いなど別の方法に切り替えるか、契約を終了させるかを受講者が選べる書き方があります。ここで、事業者が受講者に別の貸金業者を紹介したり、審査を通すために申告する収入を実際より多く書くよう促したりすることは避けます。虚偽の申告をした契約は、あとで契約の成立そのものを争われる原因になるうえ、受講者に過大な返済の負担を負わせます。
条文例信販会社を利用する場合の受講契約の成立(一般的な書き方の例)
- 受講者が信販会社の分割払いを利用する場合、本契約は、信販会社が受講者の立替払契約の申込みを承認した時に成立します。
- 信販会社が申込みを承認しなかったときは、本契約は成立せず、当社は、受講者に対し、受講料の一括払いその他の当社が定める支払方法への変更を案内します。受講者が変更を希望しないときは、申込みは終了し、受講者は費用を負担しません。
- 当社は、受講者に対し、信販会社の審査に通るために必要であるとして、事実と異なる収入その他の事項を申告するよう求めません。
立替払契約の内容や、受講契約で生じた事由を信販会社への支払の拒絶に結びつけられる点(抗弁の接続)は、分割払いの記事のとおり、法律が定めています。受講契約の条項でこれを排除することはできません。
自社分割と、滞納した受講者への督促
事業者が自社で受講料を分割して受け取る場合は、回数と期間によっては、割賦販売法の割賦販売に当たり、20日以上の期間を示した書面での催告など、書き方が縛られます(詳しくは分割払いの記事)。その規律に当たらない場合でも、遅延損害金は、消費者契約法9条1項2号により、支払期日の翌日から支払をする日までの日数に応じ、年14.6%を超える部分が無効です。
遅延損害金の計算例(割賦販売に当たらない分割払いの場合の上限)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 未払いの額 | 1回分 100,000円 |
| 延滞の日数 | 30日(支払期日の翌日から支払をする日まで) |
| 上限の計算 | 100,000円 × 14.6% × 30日 ÷ 365日 = 1,200円 |
数字は説明のための仮の例です。割賦販売に当たる分割払いでは、割賦販売法6条2項により、残額に法定利率による遅延損害金を加えた額が上限になります。
ところで、実務で見かける分割払いの条項には、「分割は最大4回まで」と定めるうえで、「1回でも支払が遅れたときは当然に期限の利益を失う」と書くものがあります。分割の期間が2か月以上に及び、3回以上に分ける場合は、割賦販売法の規律に当たり得るため、そのままでは機能しない可能性があります。滞納を前提にした督促の手順を、あらかじめ決めておきます。
督促のとき、受講者の親や家族に連絡することは、慎重に考える必要があります。受講者の氏名や滞納の事実は個人データにあたり、本人の同意なく第三者に提供することは、法令に基づく場合などを除いて許されません(個人情報保護法27条1項)。申込みの時点で、連絡先を指定してもらい、その範囲で連絡することに同意をとっておく方法があります。同意がなければ、督促は本人にだけ行います。
親のカード・親名義で支払う場合
親のカードで支払う、親が代わりに振り込む、という場面では、契約の当事者は受講者でも、親が後から「勝手に使われた」「聞いていない」と主張することが想定されます。契約者と支払をする人が違うときは、申込みの時に支払をする人の承諾を記録します。支払をする人に債務を負わせたいときは、保証であることが分かる書面を別に用意します(民法446条2項)。
ヒヤリングで確認すること
契約書や規約を整える前に、次の点を事業者に確認します。確認の目的は、条項の細部を決めるためだけでなく、実際の勧誘と支払の運用が、書面の内容と一致しているかを見るためです。
ヒヤリングの問い|受講者の年齢・属性と支払の運用
想定している受講者は、学生、社会人になって間もない人、定年前後の人のどの層が多いですか。
層によって、問題になる法律が違います。学生・若年層なら消費者契約法4条3項5号など、高齢層なら同項7号や判断能力の問題を中心に点検します。
17歳以下の申込みを受け付けますか。受け付けるなら、誰が契約者で、誰が支払をしますか。
受け付けるなら同意書と保証の書面が必要で、受け付けないなら受講資格の条と年齢確認の運用を揃えます。
勧誘は、誰が、どの媒体(SNSのメッセージ、オンライン面談、広告)で行っていますか。外部の紹介者や代理店は使っていますか。
紹介者の言葉も事業者の勧誘として評価され得ます。SNSでの個別のやりとりは、好意の感情を利用する勧誘(4条3項6号)の点検が必要です。
支払方法は何を用意していますか。自社の分割は、何回で、何か月にわたりますか。
自社の分割が割賦販売に当たるか、カード・信販を使うかで、条項の書き方が変わります。年齢層ごとの利用割合も確認します。
借入れについて、勧誘の場で話すことはありますか。信販の審査に通らなかった人には、どう案内していますか。
借入れに誘導していないか、審査に通らなかったときの契約の扱いが決まっているかを確認します。
滞納した人への督促は、誰が、どの方法で行っていますか。家族に連絡することはありますか。
家族への連絡は個人データの第三者提供の問題です。同意の取り方と督促の手順を揃えます。
回答をもとに、受講資格の条、支払の条、個人情報の条、解除の条の順に書き方を決めます。
起きがちなこと
よくあるご質問
18歳・19歳の受講者にも、親の同意書は必要ですか。
必要ありません。成年年齢は2022年4月1日から18歳になり(民法4条)、18歳・19歳は親権者の同意なしに契約を結べます。同意書を求めるのは17歳以下の申込みを受け付ける場合です。ただし、消費者契約法4条による取消しは、18歳・19歳でも主張できます。
受講者が「18歳以上」と申告すれば、年齢の確認は足りますか。
申告だけでは、17歳が18歳以上と答えた場合を防げません。生年月日の入力、必要に応じた書類の提出、支払に使う決済手段の名義の確認などを組み合わせる方法があります。17歳以下が年齢を偽っても、取消しができなくなるのは詐術を用いたと評価される場合に限られます(民法21条)。
高齢の受講者が成年後見開始の審判を受けたとき、事業者から契約を解除できますか。
審判を受けたことのみを理由に事業者に解除権を与える条項は、受講者が消費者の場合、無効です(消費者契約法8条の3)。解除権ではなく、後見人等への通知と、権限の確認のうえで受講の継続や終了を協議する手順として書きます。
信販会社の審査に通らなかった受講者は、受講できますか。
契約の成立を信販会社の承認の時にする書き方があります。承認されなかったときは、一括払いなど別の支払方法に切り替えるか、申込みを終了させるかを受講者が選べるようにします。審査のために、事実と異なる収入を申告させることは避けます。
滞納した受講者の親や家族に連絡してもよいですか。
受講者の氏名や滞納の事実は個人データにあたり、本人の同意なく第三者に提供することは原則として許されません(個人情報保護法27条1項)。申込みの時点で本人が指定した連絡先について、連絡することに同意を得ておく方法があります。同意がない場合は、督促は本人に対してだけ行います。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の講座やサービスが投資助言・代理業、業務提供誘引販売取引などに当たるかは、勧誘の方法や講座の実態によって結論が変わります。本サイトは個別の投資判断や投資の助言を行うものではありません。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は e-Gov法令検索で確認しています(最終確認日:2026年10月22日)。参考: e-Gov法令検索 / 特定商取引法ガイド(消費者庁) / 金融庁